みんな愛してるから

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みんな愛してるから

理(4)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <3話  久々に帰省した文也に対して、母親はそっけなかった。 「何しに帰ってきたのよ」  睨みつけられ、冷たい声を浴びせられても、文也は動じずに、彼女の向かい側に正座をして、きちんと話をする体勢を...
みんな愛してるから

理(3)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <2話  連休初日に、兄は実家に帰ってきた。いてもたってもいられず、理はバス停まで迎えに行った。 「お帰り、兄さん」  だいたいの到着時刻を伝えていたとはいえ、まさか理が待っているとは思わなかった...
みんな愛してるから

理(2)

<<はじめから読む! <1話  小野田明美。理の通う大学の、文学部で助手を務めている。工学部情報科学コースに在籍する理とは、元々は接点がない。  夏織がアップした写真の内、複数枚に映り込んでいるのは明美だけだった。理は彼女のことを調べ上げ、...
みんな愛してるから

理(1)

<<はじめから読む! <「百合子」17話  ――恋なんて、自分勝手でいいの。恋より愛が上なんて、誰が決めたの。  耳元で鳴る洋楽は、理には意味などわからない。ハスキーな女性ボーカルは、なぜだか十年も前に聞いた、懐かしい女性の声を思い起こさせ...
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百合子(17)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <16話  窓から差し込む光のまばゆさに、目を開けた。でも、そうなるのが嫌で、寝る前には必ず、カーテンを閉めるようにしていることを、百合子はふと思い出した。  昨夜は忘れたっけ。そもそも開けた記憶...
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百合子(16)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <15話  翌土曜日、目を覚ました文也は、自室ではない場所で眠っていたことに、驚いていた。そして、部屋を見渡して、ぼうっと座り込んでいる百合子を見て、びくりと肩を揺らした。 「わ、渡辺さん……?」...
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百合子(15)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <14話  平和な街で起きた大事件も、すでに犯人が逮捕されていることもあって、すぐに風化していった。とはいえ、百合子はある意味当事者と言えなくもないので、その後の動向も窺っていた。  男が夏織の住...
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百合子(14)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <13話  翌日、夜になってから百合子は出かけた。たった一ヶ月ほど行かなかっただけで、店の扉は自分を拒絶しているように見えた。  初来店のときと同じくらい緊張して、店内を覗くと、マスターの笑顔が出...
みんな愛してるから

百合子(13)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <12話  夏織の葬儀に、百合子は参列した。涙は一ミリも流れなかったが、同僚の突然の死に、参加しないわけにはいかなかった。  古河の家の両親の隣で、文也は焼香を済ませた参列者たちに、頭を深く下げて...
みんな愛してるから

百合子(12)

<<はじめから読む! <この章のはじめから <11話  その後、百合子は病院へ行き、診断書をもらった。だが、課長を通じて下されたのは、警察への通報は待てという命令であった。  あんな凶暴な女を野放しにしてはおけないと、百合子は主張したが、上...
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