孤独な竜はとこしえの緑に守られる

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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(37)

<<はじめから読む! <36話 「陛下……陛下」  土木工事の優先順位を争う領主たちの主張を書いた書状の精査に集中していたら、声をかけられた。ベリル、と顔を上げたシルヴェステルだが、残念ながら輝く笑顔はそこにはない。  露骨に肩を落として残...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(36)

<<はじめから読む! <35話 「兄は絶対に生きているはずです。ミッテランに連なる者が、そんなに弱いはずがない」  真剣な表情で兄を追い求めるカミーユに、ベリルが抱いたのは同情ではなく、違和感であった。 「探して、どうするつもり?」  生き...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(35)

<<はじめから読む! <34話 「探しているのは、腹違いの兄です」 「お兄さん?」  ミッテランといえば、当主は現在宰相を務めている、名門の家系だ。ベリルが直接顔を合わせる機会はないが、夜会で慇懃な挨拶を受けた。シルヴェステルとは表面上は対...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(34)

<<はじめから読む! <33話  マリアンヌの手引きによって連れてこられたのは、やはり娼館であった。彼女の生きる世界は狭い。市場に買い物にだってたまに出かけるが、日の当たる場所では生きられないと知っているから、すぐに路地裏の花街へと戻ってき...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(33)

<<はじめから読む! <32話 「いや。好きな人に渡すプレゼントだから、自分で稼いだ金で買わなきゃ」  好きな人。  ジョゼフの言うそれは、当然ナーガのことである。初めて見た瞬間に、心奪われたと言っていた。確かにナーガは美しく、優しい。ジョ...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(32)

<<はじめから読む! <31話 「わぁ」  まったく異なる風景に、思わずベリルは子供っぽい声を上げた。庶民向けの店からやや高級な店まで、まさしく玉石混淆である。広場には市が立ち、屋台が並ぶ。  出稼ぎに来た田舎者も、お忍びの貴族も、この場所...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(31)

<<はじめから読む! <30話 「それではベリル様、参りましょう」  差し出された手を取ろうとしたら、見送りにやってきたシルヴェステルによって阻まれた。彼の手は、人間の手より断然大きく、力強い。ぎゅう、と思いきり力を込めて握られて、ジョゼフ...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(30)

<<はじめから読む! <29話  時折、カミーユを通じて手紙でベリルの様子を報告してくるので、それだけは役に立っているといえるか。  むしゃむしゃと一心不乱に菓子を食べ続けるシルヴェステルの肩に、隣に座ったベリルはもたれかかった。擦り寄って...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(29)

<<はじめから読む! <28話 「陛下。お茶はいかがですか?」  眉間に皺を寄せて唸っているところに、明るい声がかけられた。彼が持つトレイの上からは、黒茶のいい香りが漂ってくる。ふと時計を見ると、午後の業務を始めてから、すでに二時間が経過し...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(28)

<<はじめから読む! <27話  ナーガが淹れ直した茶を受け取ったジョゼフは、しきりに恐縮していた。一応ベリルが後宮の主のはずだが、ジョゼフはナーガの男とは思えない美貌に心奪われたのだろう。友の語らいには邪魔でしょうから、と部屋の隅に退いた...
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