長編小説

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愛は痛みを伴いますか?(10)

<<はじめから読む! <9話 「それじゃあ、好きな本を選んでください」  革の衣装でも渡されるのか。はたまた鞭を振るうように指示されるのか。戦々恐々としていた雪彦に、幹也は拍子抜けなことを言った。  訳がわからないながら、こちらも初心者であ...
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愛は痛みを伴いますか?(9)

<<はじめから読む! <8話  夜まで別々の講義を履修していたため、待ち合わせは正門前。  行きたくない。その気持ちが足取りを重くする。普段の倍以上の時間をかけて、待ち合わせ場所に雪彦はやって来た。幹也は対照的に、楽しみで仕方がなかったのだ...
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愛は痛みを伴いますか?(8)

<<はじめから読む! <7話  両隣で居眠りをする友人たちと一緒のときは、雪彦も「まぁいいか」と流されがちだった。朱に交われば、なんとやらである。ヤンキーに囲まれているときは、自分もヤンキーになる。無気力なモラトリアム大学生と過ごしていれば...
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愛は痛みを伴いますか?(7)

<<はじめから読む! <6話 「葛葉」  最前列端に座り、前の週のレジュメで復習をしていた幹也は、雪彦の呼びかけに顔を上げた。友人たちの言うところの「馬鹿っぽい」笑顔を浮かべて、「雪彦さん」と応じる。無邪気な様子に気圧される。  幹也は特待...
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愛は痛みを伴いますか?(6)

<<はじめから読む! <5話 「下僕ちゃんどうよ? あ、性奴隷ちゃんだっけ?」  わざわざ嫌らしい言い方で幹也を称した友人を殴りつけたい衝動を、ぐっと堪えた。 「性奴隷じゃねぇよ。俺にはそういう趣味はない」  否定のセリフは短く、一言で。言...
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愛は痛みを伴いますか?(5)

<<はじめから読む! <4話 「去年の、夏……」  言われて、思い当たることがあった。  受験料くらいは自分で捻出しようとして、雪彦はバイトをしていた。終わったら自習室や授業に直行できるように、予備校近くのハンバーガーショップのキッチンで働...
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愛は痛みを伴いますか?(4)

<<はじめから読む! <3話  黒高、すなわち私立黒島高校のユキヒョウとは、雪彦の通り名であった。  髪を染めていると勘違いされることが続き、次第に、地毛だと訂正するのも面倒くさくなった。生活指導の教師の言葉を、右から左に聞き流していると、...
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愛は痛みを伴いますか?(3)

<<はじめから読む! <2話  犬になりたいのか奴隷になりたいのか、名前も知らぬ青年を引きずってやってきたのは、進路面談の際に利用するカウンセリングルームである。学生同士の利用も制限されていないため、雪彦は一番奥の個室に入り、利用中の札を掲...
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愛は痛みを伴いますか?(2)

<はじめから読む!  雪彦が一人でこの場に直面したのなら、触らぬ神に祟りなし、とこっそり逃げ出すところであった。しかし一緒にいるのは、人の心の機微などわからない連中だった。彼らは混ぜっ返せば、どうにかなると思っている。どうにかしてくれる人間...
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愛は痛みを伴いますか?(1)

「ずっと探していました! 俺のご主人様!」  震える声で呼びかけられて、雪彦ゆきひこは一瞬、今自分がどこにいるのかを忘れかけた。  弟の見ているアニメで、似たようなシーンがあった。トラックにひき逃げされた主人公が、次に目を覚ましたのは異世界...
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