BL ほおずき、弾けて 九月の夜。東京と比べて涼しいと見越して長袖を持参したが、必要なかったかもしれない。 店内は冷房が稼働しているにもかかわらず、宴会場の襖を明けた瞬間に、熱気がこちらへと向かってきた。 「今日の主役がようやくお出ましだぞー」 長い大学の夏休... 2024.01.31 BL短編小説
BL キスをとばして(1) 世話になった同期の頼みだからって、ほいほい聞くんじゃなかった。 「うっ」 口元を押さえ、篤志あつしはえずく。明らかに酔っ払いの醜態だが、篤志はほとんど飲んでいなかった。 「大丈夫ですか?」 気遣いの言葉とともに手渡されたペットボトルは、... 2023.05.23 BL短編小説
BL 夢の尾ひれはもう掴めない ゆらゆらと揺れる水面も、自分の在学中には外にあったプールが今や屋内に作られていることで、日の当たり方が違うような気がした。窓ガラスと水、二つの物質を通過した光は果たして、自分が屋外で浴びる光と同じだと言えるのだろうか。 尤も学生時代に一番... 2020.03.23 BL短編小説