青春

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短編小説

空似の義兄

きっかけは、テツヤ(あるいはナオキ、だったかもしれない)の一言だった。 十年以上経った今でも、幸雄ゆきおは鮮明に覚えている。『えっ、お前らって、双子じゃねぇの!?』 彼は、幸雄と康之やすゆきの顔を交互に見た。 小学校四年。十歳。成人の半分の...
短編小説

きらきら星のばんそう者

黒板の前で発言をするのは、優等生と相場が決まっている。一度も染めたことがないだろう黒髪を、きっちりと二つに結んだ副委員長を従えて、学級委員の眼鏡の少年が、か細い声を精一杯張り上げている。 私は不自然にならないように、辺りを窺った。こういうと...
短編小説

桜待人

四月になってカレンダーは桜の花の写真に切り替わったが、実物を目にするまでにはあと一か月弱。それでも私は、今日から通うこの市立高校の桜並木に満足していた。 野暮ったいセーラー服――タイも紺色で、黒のラインが入っている重い色合いの――に袖を通す...
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