断頭台の友よ(96)

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95話

 オズヴァルトは残念ながら、狂人の顔をしていない。青い目は曇りひとつなく澄み切っていて、尋問官たちを戦慄させた。誰がどう見ても正気の顔で、狂った倫理観を述べるのが、薄ら寒くなるほど恐ろしい。

 首を斬ることに固執した理由を問われたとき、オズヴァルトは部屋の隅にいる黒衣の男――クレマンをちらりと見た。子供が軍人に憧れるかのような熱っぽい瞳に、怖気が走る。

「自ら生を手放そうなどという大罪人の罪を贖うためには、首を斬らなければならないでしょう?」

 ねぇ?

 オズヴァルトはクレマンにうっとりと話しかける。クレマンは首を横に振るだけであった。首を斬る理由なんて、クレマンが知るはずもない。大昔から、サンソン家の男たちはそうしろと言われて剣を振り下ろしてきただけだ。理由付けなど、したこともない。少なくとも、クレマンは贖罪のための首斬りなどとは考えたこともなかった。

 得体の知れない思考を持った犯罪者の尋問は、表面上は和やかに進んだ。捕まったからには仕方がないと、素直にすべてを白状していたからだ。暴力など必要なかったし、彼にはもとより、共犯者などいない。強いて言えば、被害者自身であった。しかし、依頼者も、まさか自分が首を斬られるなどとは思っていなかっただろう。

 オズヴァルトへの判決は、当然死刑であった。言い渡されたときの彼は、静かに涙を流した。

 これで、肩代わりしたてきた罪が天に上げられる。本当の意味で、彼らは救われるのだ。

 ただでさえ美しい彼は、地下牢という劣悪な環境のせいで薄汚れ、やつれてはいた。だが、遠くで見守っていたクレマンには、余計に研ぎ澄まされた美貌が、まるで一幅の宗教画のように見えた。

97話

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