愛奴隷~Idol~(18)

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17話

 え、今日も遊べないの?

 自分よりも大きいくせいに仔犬のようなくりくりとした目をして、昴は「がっかりだ」という顔を作る昴に、「ごめんね」と貴臣は申し訳なさそうに手を合わせた。

「だって最近、撮影の後もさっさと帰っちゃって、ご飯も一緒に行けてないじゃん」

 唇を尖らせる昴は非常に魅力的だし貴臣は良心がちくちく痛んだけれど、もう一度「ごめん」と言うだけだった。

「もうすぐ撮影も終わるのに」

 貴臣がはっとして顔をあげると、昴は寂しそうだった。そう、深夜ドラマの撮影期間は短い。休日の朝に放送している子供向けの特撮番組は一年間という長期に渡るのだが、ドラマは一時間番組でワンクール。しかも予算をあまり使えない深夜枠のため、かなりの無理をして撮影をしている。

 貴臣自身も帰ってオナニーなど考えられないくらい疲弊している毎日を送っているのだが、牛島から命じられたことを考えると、好都合だった。

 ニプルポンプを使って電話越しに優しく詰られながらのオナニーは功を奏し、乳首は完全に頭を出し、事前に忠告されていたとおりシャツに擦れて痛くなってしまったので、こっそりと絆創膏を貼っている状態だった。絆創膏の上からぷにぷにと苛めるだけで熱い息が漏れてしまうのだから陥没乳首のままの方がよかったのではないかと思わないこともないが、長年のコンプレックスが解消されて嬉しくてつい触ってしまうのだ。

 撮影が遅くなったり連日続くと牛島の元に通うことはできない。玩具でのオナニーが続いていたが、一週間前に「今日から俺と会う日まで、オナニーするの我慢しなさい」と言われた。

 習慣化してしまった一人遊びを我慢することは辛かったけれど、貴臣には確信があった。

 そう、きっと。次に会ったときに牛島の熱く逞しい、あのペニスを自分の中に突っ込んでもらえるのだ、と。オナニー禁止の命令は自分の初めての演出のためだと思った。

 そして今日、「撮影が早く終わったら」という条件付きではあったが、牛島の店、あの部屋を訪問する約束だった。ミスをしないように、また他のキャストがミスをしたときに残念だとか苛立ちとかを顔に出さないように気をつけた。昴に「晩飯食いにいこ」と誘われるより前に、牛島に「今日行きます」とメッセージを送ってしまっていたのだった。

「ごめんね、すーちゃん」

 何回謝っているのかわからないし、もしかしたら今日一緒に行けないことを謝っているわけではないのかもしれなかった。昴はゲイが嫌いなのに、自分は今日、男に抱かれに、男とセックスをしに行く。

「でもすーちゃん、撮影終わったらもう俺と会ってくれなくなんの?」

「そんなわけじゃ、ないけどさ」

「今日はちょっと都合悪いけどさ、また今度ご飯行こう」

 時計を見るともうそろそろ撮影所を出なければいけない時間だった。自分より背が高いけれど、年下らしい顔を見せる昴の頭を自然に撫でて、「貴臣?」と声をかけられてはっとする。

「あー……なんかいとこのちっちゃい子相手にしてる気分になってたわ」

 なんだよそれー、と言う昴の頭をぐしゃぐしゃ、ともう一度強く掻き混ぜてから、貴臣は足早に撮影所を後にした。

19話

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