愛奴隷~Idol~(29)

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28話

 案の定、昴からはそれからぴたりと連絡が途絶えた。当たり前だ。ゲイフォビアの彼があんなシーンを見て、平気で自分と友人づきあいができるわけがない。いっそのこと連絡先をすべて消去してしまおうか、と思ったけれど、貴臣にはできなかった。初めてスマートフォンで連絡を取り合った日から今までの、くだらなくも愛おしいやりとりを消してしまうなんて、貴臣にはできない。

 不思議なことに、それからしばらく牛島からの連絡も途絶えていた。彼の奴隷とはいえ約束と違うことをされた怒りもあって、貴臣の方から連絡するのも癪だから、放置している。

 何のために奴隷契約にしたのか。昴に見られるという危険性を少しでも排除したかった。なのによりにもよって、パーティー会場にも現れて――葉山と知り合いらしいけれど、どうやって知り合ったのだろう――昴の目の前で犯すなんて、信じられなかった。

 もう一か月、牛島に抱かれていない。会っていない。身体は疼けど、もう「誰かに見られている」という妄想による自慰行為は成立しない。誰かの視線を意識した瞬間、その目は昴のものに変わる。そうすると途端に熱は冷めて、性欲も失せる。まともに射精することはできなくて、夢精で吐き出すだけの日々だった。汚れた下着を洗いながら、なんでこんなことをしているんだろう、と泣いたけれど、自業自得でもあるから仕方がない。

 深夜ドラマとはいえダブル主演を張ったのだから今がチャンス、とばかりに仕事を詰め込まれているのが幸いだった。仕事に没頭して、昴のことも牛島のことも忘れてしまおうとした。

 牛島から連絡が入ったのは、次の日が久しぶりのオフだという日だった。何の弁解もなく、「今日、来られるかな」という一言だけの連絡。溜息を吐いて、一瞬考えながらも「わかりました」とそっけない返事をした。

 そろそろいろいろと、潮時なのだろう。

30話

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