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BL

愛は痛みを伴いますか?(4)

<<はじめから読む! <3話  黒高、すなわち私立黒島高校のユキヒョウとは、雪彦の通り名であった。  髪を染めていると勘違いされることが続き、次第に、地毛だと訂正するのも面倒くさくなった。生活指導の教師の言葉を、右から左に聞き流していると、...
BL

愛は痛みを伴いますか?(3)

<<はじめから読む! <2話  犬になりたいのか奴隷になりたいのか、名前も知らぬ青年を引きずってやってきたのは、進路面談の際に利用するカウンセリングルームである。学生同士の利用も制限されていないため、雪彦は一番奥の個室に入り、利用中の札を掲...
BL

愛は痛みを伴いますか?(2)

<はじめから読む!  雪彦が一人でこの場に直面したのなら、触らぬ神に祟りなし、とこっそり逃げ出すところであった。しかし一緒にいるのは、人の心の機微などわからない連中だった。彼らは混ぜっ返せば、どうにかなると思っている。どうにかしてくれる人間...
BL

愛は痛みを伴いますか?(1)

「ずっと探していました! 俺のご主人様!」  震える声で呼びかけられて、雪彦ゆきひこは一瞬、今自分がどこにいるのかを忘れかけた。  弟の見ているアニメで、似たようなシーンがあった。トラックにひき逃げされた主人公が、次に目を覚ましたのは異世界...
ホラー

リトライアンドエラー

やってきたバスに乗り込んで、ほっと一息ついた。  東京から新幹線で、三時間弱。そしてさらに、地元の電車に乗った。だいぶ北にやってきたので、涼しいと思っていた。なのに、真夏の太陽は容赦なく、俺のことを焼き焦がす。  ガラガラの車内の、一番後ろ...
短編小説

モザイクタイルの指先

へっくち、と亜里沙ありさはくしゃみをした。思わず赤面して、両手で口から鼻までを隠した。手袋の毛糸がチクチクする。  ミトン型の手袋は、中学二年生にしては幼いデザインだ。じっと掌を見つめていると、次第に子供でしかない自分に腹が立ってくる。  ...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(45)

<<はじめから読む! <44話  飛天が高岩が講師を務める養成所に通いだして二ヶ月弱が過ぎた、六月頭。  飛天は空港にいた。 「わざわざ見送りに来てくれて、ありがとうございます」  にっこりと微笑んだ映理の傍らには、機内持ち込みサイズぎりぎ...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(44)

<<はじめから読む! <43話 「十年近く前のことを言われても、と晒したアカウントを憎みました。大きな仕事が決まったのに、全部ダメにされた。その傲慢さをきっと、見透かされていたんだと思います。一部の特撮ファンからは、厳しい意見が続出しました...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(43)

<<はじめから読む! <42話  パソコンはじめ、機材は次郎に借りた。スマートフォンからでもできるらしいが、やり直しがきかないから、しっかり大きな画面で確認しながらやりたい。  次郎は心配そうにしていたが、飛天が大丈夫だと肩を叩くと、小さく...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(42)

<<はじめから読む! <41話  晩秋の季節でも、子供たちは元気だ。ぴったりした素材のスーツは夏はあんなに地獄のように暑いくせに、冬はどうして寒いのだろう。  それでも、激しい動きに次第に息が弾み、身体が熱を持つ。単純に運動によるものではな...
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