スポンサーリンク
ライト文芸

高嶺のガワオタ(29)

<<はじめから読む! <28話 「品川!」  大声で怒鳴られて、ハッとした。高岩ではない、別の若い先輩と組み手の練習をしている最中に、考え事をしてしまった。飛天の頬に、相手の手刀が決まる。  鋭い痛みに、蹲った。 「ぼーっとしてんじゃねぇよ...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(28)

<<はじめから読む! <27話 『絶対に、報われる日は来るから!』  芸能界は残酷な世界だ。入ろうとする者を弾き返し、なんとか厳しいオーディションを経て残ったとしても、人気がなければ生きていけない。そして去る者を追うこともしない。新人はいつ...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(27)

<<はじめから読む! <26話  妹が不在の時間をなるべく狙って、飛天は映理を招いていた。今日で三回目、すでに撮影は始まっている。  飛天は撮影現場にも見学に行っていた。太陽は真剣に、細かく演出を演者に伝えていた。少しだけ印象はよくなったが...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(26)

<<はじめから読む! <25話  頬を押さえながら、舞い上がりそうな気持ちでいっぱいの映理に、「俺、高校のとき演劇部だったんだ」と小さな嘘をついた。 「本当に? 裏方じゃなくて、役者をしてたんですか?」 「疑い深いんだな……役者として舞台に...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(25)

<<はじめから読む! <24話  とにかく話をきちんとしようと、飛天たちは太陽に連れられ、別室へと移動した。狭い控室のテーブルに向かい合って座る。 「あの、中野さん? ヒロインって……」  太陽の目は、映理に釘付けだった。指で作った四角を前...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(24)

<<はじめから読む! <23話  会場は満員御礼だった。ここにいる全員が、特撮オタクかと思うと飛天は緊張で身を強張らせたが、すべて杞憂だった。  ここにいるのは純粋に特撮技術やアクションなどに魅了された人間たちばかりだ。生身の人間への興味は...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(23)

<<はじめから読む! <22話  映理から電話で誘われたのは、三日前だった。 『飛天さん。お願いがあるんですけど……』  普段は意識しないが、電話越しだと、声に宿る感情というものに敏感になるものだ。映理の声は、「断られたら嫌だな」という不安...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(22)

<<はじめから読む! <21話  その日の飛天は早起きだった。つい先日までのニート生活が嘘のように、規則正しい生活を送っているものの、さすがに六時に起きたのは、高校生以来のことだ。  すでに起きていた母親がぎょっとして、「ちゃんと眠れたの?...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(21)

<<はじめから読む! <20話  すべてのショーが終了して、後片付けも終わり。一部の人間を除いて現地解散のため、飛天は映理と待ち合わせていた。  彼女が指定してきたのは、近くにある喫茶店だ。メジャーなチェーン店ではないあたり、飛天のこれまで...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(20)

<<はじめから読む! <19話  デビュー日の天気予報は、晴れ。気温も高くなるようで、スーツを着てアクションをするのは大変そうだが、雨で中止になったり、やれても客がほとんどいなかったりするよりは、全然マシだ。  指折り数えてその日を待ち望ん...
スポンサーリンク