『Bright:光舞う場所』レビュー

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令和BL小説グランプリ レビュー

イーデスブックスさん主催の令和BL小説グランプリ、参加作品レビュー2冊目です。

2冊目は表紙からもう、「絶対しんみりセンシティブ系であろう!」という作品をチョイスしました。

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『Bright:光舞う場所』

ということで、

『Bright: 光舞う場所』 (みかみ黎)

をレビューします。

みかみさんは商業出版もされています。どちらも購入し、拝読しました。
(なんならデビュー作に関しては、web掲載の時点でご本人に感想をDMしたくらいです)

みかみさん、いやここは先生と呼ばせていただきましょう。
みかみ先生の商業の著作は↓↓

REDRUM (プラチナ文庫)
デビュー作。
妻を殺された主人公が、夜な夜な何者かに凌辱される話。可愛い息子を守らなければならないと、悲壮な決意のもと、謎の男に従う主人公が痛々しい。果たして男は何者なのか…? というサスペンスBL。

潜入オメガバース! ~アルファ捜査官はオメガに惑う~ (ラルーナ文庫)
2作目。オメガバース物です。
電子書籍になっていませんので注意。 4月20日より電子書籍化されています!
アルファである刑事の主人公が、潜入先で奴隷として扱われているオメガの少年に惹かれていく物語。どうやら少年には秘密があるようで……?

hontoで買いたい人はそれぞれこちら→ 『REDRUM』 『潜入オメガバース!』

という感じで、2作ともどちらかといえばダークな匂いがするお話なのですが、今回レビューする『Bright:光舞う場所』は、白いみかみ先生でした。

みかみ黎さんのtwitterはこちら

『Bright:光舞う場所』

表題作は心臓が悪い少年・純の入院先に、憧れのアーティスト・Brightがコンサートをしにやってくるところから始まります。

Brightの楽曲を作っているキーボード担当の輝には、悪いウワサが絶えませんが、あるきっかけで触れあった純は、彼のわかりづらい優しさを知り、曲だけじゃなくて輝本人にも惹かれていきます。しかし輝は、ある日突然姿を消して……?

正直途中まで、「みかみさんの作品やぞ……この輝という男、何をしているかわからんぞ」「純くんは騙されているのかもしれない……」と疑う気持ちがあったのですが、最初から最後まで優しい物語で、安心しました。

純が病気を克服し、二人が再会して交流を深めていくのが微笑ましいです。
ぶっきらぼうな輝の言葉や行動の根底には、ただただ純への慈しみと優しさが溢れています。
二人の間を取り持ってくれるのは、輝が世話になっている農園のおばあさん。

このおばあさんがいい味出している人で、柔らかな方言が自然で、まるで耳に聞こえてくるような気までします。特におばあさんのセリフで好きなところがあるので、引用します。

「そうよ。人間、簡単なほうがよけいに幸せなんよ。ほやから矢野君も簡単になんなさいよ」

『Bright:光舞う場所』本文より

いろいろ経験した老婦人にしか言えないだろう含蓄のある言葉だな、と思います。
私はこういう、キャラクターたちがぽんぽん喋るシーンが好きなので、純と輝と、それからおばあさんのやり取りはほっこりしました。

肝心のラブの方も、純が自分の思い込みから身を引こうとするのが切ないです。二人で見に行った蛍の光の儚さが、とても合っているシチュエーションだと思いました。

勘違いや思い込みを乗り越えて結ばれた二人に幸あれ。
純くん、純粋培養すぎて輝が大変そうですが。
初めてのセックス中に輝が言った言葉を守る純がとてもかわいいです。
(そして輝が言葉責めをしているみたいに見えちゃうお約束)

じんわりと心が温まる良作です。

『好きって、まだ言えてない』

同時収録されている二本目も、主人公は高校生。
あとがきでみかみ先生がおっしゃっているように、「高校生が好きな人のために頑張るお話」が好きな人は読むべき!

お金持ちのボンボンで遊び惚けていた主人公・祐貴。
父親の命令で、家庭教師が来ることに。
「美人女子大生じゃないしなあ」と、サボることばかり考えていた彼ですが、やってきた青年の真面目さに驚きます。
彼の笑顔がきれいなことに気づいた祐貴は、なんとなく勉強を続けるようになり、やがて青年と同じ大学への進学を目指すようになります……

が。

が、ですよここで。

恋心をまだ自覚できない祐貴が、受験勉強の気分転換にと誘った花火大会に、先生は現れません。
(もうこの時点で嫌な予感しかしない)

先生はなんと、信号無視の車にはねられて重態になってしまったのです……辛い。

しかし先生、「祐貴くんが大学合格するのを見届けないと、死んでも死にきれない」と幽体となって祐貴の元に現れて、小さなくまのぬいぐるみに憑依を果たし、再び家庭教師として受験のサポートをしてくれるのです。

このくまのぬいぐるみの挙動がいちいち可愛い。というか、中に入っている先生が超可愛い。
主人公と一緒に萌え萌えできます。にこにこにやにやして見守ることができるのですが、「大学合格するまで」という期限があるので、読者としては、二人のやりとりがどんなに面白くても萌えても、常に切なさが付きまといます。

何気ない日常の光景を読んでいるだけなのに、お互いにわかっている刻限を意識させられて、泣きながら読みました。

結末は……皆さん自分の目でお確かめください。

最後に、年下攻め最高だな、と思ったセリフを引用します。

「じゃあ、生徒が非行に走らないように、花火大会に引率してよ、先生」

『好きって、まだ言えてない』本文より

はい、好き~~~!!! 

学生攻めの醍醐味を全部詰め込んだデートの誘い文句です、完璧だと思います。

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