梅雨入りしてしまったようですね……。
そんな季節に合わせて、noteに短編をアップしています。
コバルト短編小説新人賞で選外だったものですが、読み返してみるといい感じでは?
(基本的に自作は全部面白いと思っている人)
家から一歩も出ないで読書をするなら、電子ですね♪
『黒鉄の王と暁のつがい~永久の花嫁~』
今日のレビューはこちら!
『黒鉄の王と暁のつがい ~永久の花嫁~』(鳥野りと)
前世からの因縁に導かれるファンタジーBLです。
ファンタジー、自分で書くのは苦手(いくつも没プロットがある)ですが、読むのは好き。
表紙が惚れ惚れするくらいステキですね!
主人公の柚稀は、天涯孤独の身。
両親を喪った後、親代わりに支えてくれているのは黒鉄という、不思議な男。
この黒鉄と柚稀(と当て馬のシナト)との間の前世の因縁が、今の彼らの関係にも影を落としています。
柚稀は前世のことを夢で見ますが、記憶は蘇らないまま。
黒鉄は最愛の彼を愛おしいと思いつつも、柚稀自身のために、いつかは身を引かなければならないと考えて、柚稀の想いを苦しみながらも拒絶します。
で、このすれ違いがとんでもない事態を引き起こすわけですね……!
黒鉄に何も言わずに町の外へ出た柚稀。
彼の一族は、町から出ると死ぬという呪いにかかっているのですが、自分が無事であることにホッとしたのも束の間、どこともわからぬ異世界へ呼ばれてしまいます。
「あ~、前世で結ばれなかった二人が、今世では結ばれる話なんだなあ」
と、想像して読んでいたので、あまりの事態にびっくりしました。
その後も柚稀の夢を通して、読者たる我々は彼らに起きたことを徐々に知っていきます。
黒鉄が黒鉄になり、前世の柚稀が「暁」という名を得るシーンは、エピローグの感動にそのまま直結します。
「お前は光だ。俺の希望であり、俺の夜明けだ」
エピローグより
ところで街を出た瞬間に柚稀を異世界にさらったシナトですが……
か、可哀想……! 当て馬としか言いようがない、本当に可哀想……!
きっと初恋だったんだよね。
初めて優しくしてもらって、しかも真名までもらったんだもん、好きにならざるをえないよね……!
そしていつもなら、「当て馬もハッピーになれますように」と祈るのですが……。
彼の幸せなビジョンがまるで見えない。
ずっと初恋をあたためていそうな気しかしない……
か、可哀想……!(三度目)
何よりも柚稀を優先しようとする彼のこと、最初胡散臭いしちょっと嫌だな~、と思っていたのですが、最後には好きになることができました。
「柚稀」じゃなくて「暁」を愛しているのでは?
と、想いが通じ合ってもさらにひとねじれありそうになりました。
でも、黒鉄が7年の柚稀の親代わりを経て、考えを変え、柚稀自身を尊重しようとしてくれて、ホッとします。
黒鉄の台詞で、
「ああ、お前は強いな。お前は優しく、美しく、聡明で、強い。そして何よりも自由だ。その自由な心が、俺には嬉しい」
本文より
というのが、じんわりと沁みます。
神に捧げられるために人から隔絶されていた前世の彼が、自由になったのが何よりもうれしいのだ、と。
しみじみと愛しい、ファンタジーBLでした。
作者の鳥野りとさんのtwitterはこちら。(※別PNです)
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