小説投稿サイト「エブリスタ」では、年間通じて多くの公募が実施されています。
複数の出版社と協力し、受賞作の書籍化も検討される賞です。
何を隠そう、私がエブリスタに登録をしたのも、賞への応募を検討するためでした。
(結局その時は応募しなかったんですけどね……いろいろあって)
今日は、そんなエブリスタ大賞でチャンスを掴んだ本のご紹介です。
『ヴンダーカンマー』(星月渉)
『ヴンダーカンマー』は、エブリスタ×竹書房の第1回最恐小説大賞の長編部門受賞作品です。
寡聞にして、私この作品で初めて、「ヴンダーカンマー」というものを知りました。
英語だとワンダールーム、になりますか。
Wikipediaだと「驚異の部屋」と訳されている、奇品・珍品を集めた趣味人の酔狂な部屋のことです。
標本や剥製、小説冒頭で語られるのはホルマリン漬け……そしてラストでも。
しかし物語の中心人物である少女が自分のヴンダーカンマーに集めたのは、そうした品々ではありません。
ある理由に基づいて集められたのは、人間。
ジャンルは帯にも書いてありますが、イヤミスホラーです。
イヤミスという言葉に馴染みのない方もいるかもしれません。
読後感がイヤ~な感じになるミステリのことです。
「一番怖いのは人間」タイプのホラーと言ってもいいかもしれませんね。
数年前に『殺人鬼フジコの衝動』で有名な真梨幸子先生の作品にどハマりしていた私にとっては、馴染み深いジャンルです。
猟奇的に殺された一人の少女。
彼女によって呼び出され、その死体を目にすることになった部活仲間と顧問(少女の母でもある)の教師。
少女の死体の有様は、十六年前の未解決事件と酷似していた。
犯人は誰?
部活仲間+教師+被害者少女の一人称による過去の語りが始まります。
イヤミスって、人間の負の側面を強調する必要があるから、一人称との親和性が高いですね。
一気に読んじゃいます。
可哀想な被害者だった少女の印象が、二章の段階ですぐに崩壊します。
人を操り、利用することを何とも思わない。
本当は、誰に恨まれていてもおかしくない少女であったことがわかります。
そして終章で明かされる、彼女の本当の目的。
彼女は被害者に見せかけた加害者であり、そしてやはり、被害者でもあった。
作者インタビューで語られていますが、この話は猟奇的な事件を扱い、人間の恐ろしさを表した物語であると同時に、親子の物語です。
遺影でしか母を知らない、十六年前の事件の被害者遺族である北山耕平にとっても。
諸悪の根源が何のためにああいう行動を取っていたのか詳細は不明。
実験だったのかな、と思うけれど、ただ蒐集したかっただけなのかも。
殺された少女・渋谷唯香が、「ある条件」に基づいて同好会に集めたのは人間でした。
しかし彼女自身もまた、ヴンダーカンマーに収められた蒐集品のひとつだったことに最後に気づかされて、ぞっとします。
一気読み推奨。
作者の星月渉先生のtwitterはこちら。
私もエブリスタ大賞に応募しました
緊急事態宣言で時間があったのでなんとか書けた長編を、エブリスタ大賞に応募しています。
ポプラ社主催のピュアラブ小説大賞です。
ポケットショコラレーベルは小中学生の女の子を対象にした恋愛小説を発行しています。
今回投稿したのは、
中学生男子が、自分の姉ちゃんに恋をしている初恋の女の子に、一生懸命に恋をする話です。
珍しくラブコメ風です。
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