『怪奇現象という名の病気』(沖光峰津)

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レビュー

本日すっかり涼しかったですけれど、どうせまた暑くなるんだろうな……。

ということで、ホラーは暑い夏のうちに。

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『怪奇現象という名の病気』

先日ご紹介した、『ヴンダーカンマー』

と同じく、エブリスタ×竹書房の第1回「最恐小説大賞」、短編連作部門の大賞受賞作品です。

『怪奇現象という名の病気』

精神病院を舞台に、アルバイト警備員の哲也が患者たちから怪奇についての話を聞いていく、連作短編集です。

幽霊が見えるだとか化物に襲われるだとか、入院患者たちの話は往々にして脈絡がないもの。
しかし中には、不思議と辻褄の合う話をする患者もいる。
警備員の哲也は、怪奇に関する話を聞くのが好きで、患者たちから聞き出していく。
そして自らも、怪異を目撃する……。

事態が好転する人もいれば、最悪の事態に陥る人もいます。
だいたい後者の場合は、自業自得だったりします。
哲也も同情しない患者とか、いっぱいいるし。

今作には十編の怪異録が収められていますが、中でも後味が悪いのは、「ドッペルゲンガー」ですね。
ある日哲也が知り合った女性・真奈美は、二重人格。
彼女に言われて、障害人格である真由美を追い出すのに哲也は協力するのですが……。
救われた! と思ったら絶望が待っているのがホラーの定石だとすれば、この話はまさしく王道なのかもしれません。


ラストの「警備員」は、怖いんだけど、ちょっと前向きなラストが味わえるかなあ、と思います。
ネタバレなので多くは語りませんが。
ここまでにちょっとした違和感を抱いたとしたら、その謎が解けるかと思います。

作者の沖光峰津先生は現在、エブリスタで続編『怪奇現象という名の病気 乙』を連載中です。
途中まで読みましたが、ボリュームアップ&恐怖度がアップしています。
何が怖いって、病院自体がどうも何かありそうで、不気味で怖い。
今作の話も出てくるので、読んでからの方が無難。

怪奇現象と言う名の病気 乙/沖光峰津
怪談の短編集ですが主人公の中田哲也を巡る大きなストーリーもあります。

なんと! kindle unlimitedにも対応してるんだってさ!
(長編部門大賞の『ヴンダーカンマー』も)

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