『海辺のリゾート～』はタイトルに「殺人」と入っているわりに、結局誰も死ななかった話でした。
対してこちらは、がっつり人が死にます。
なんなら主人公も殺されかけます（2回も！）。
殺人事件が起きるのに、ラブコメなんですよ？
なんだこの神がかったバランス！ さすが！
暗くならずにラブコメしているのは、歩夢のキャラのおかげだと思います。
前向きさや強さは、彼がお母さんから受け継いだ一番のものなんでしょうね。
頭の回転も鈍くないはずなのに、なんだかちょっと抜けているところもまた愛嬌かな？
特に幽体離脱中の彼は、「政宗様好き好き！」が隠せなくて微笑ましいです。
魂だけの状態だと、やっぱり理性がなくなるんだな。
うっかり入浴中の政宗様のところに行っちゃって、冥土の土産とばかりにガン見する辺り笑いました。
（身体は意識不明の重態なので、まったくもって笑い事じゃないんだけど）
そんな「好き好き」アピールされまくっている政宗様。
冷徹なビジネスパーソン・経営者のイメージながら、人間味のある攻めでした。
父の死を悼むところとか、様付けにされるのを嫌がるところとか、下っ端の歩夢にも気を配ったりだとか。
人の上に立つもの、かくあるべし！ という感じで。
まぁそれが、犯人（のひとり）の思想が歪んでしまった原因のひとつでもありそうですが･･････。
ということで、この話は、生き霊になった受けと鏡を通じてコミュニケーションできる攻めが、受けの容疑を晴らすために奔走する（受けがある意味本当に奔走している）ミステリです。
財閥！ 由緒正しい家系！ 当主の死！
もう確実に遺産絡みの醜い骨肉の争いが起きるに決まっていますね。
しかもそこに訳のわからぬままに巻き込まれた歩夢ときたら。
これがもっとおとなしいタイプの受けだったら、不幸感マシマシでしたね。
先述の通りのキャラだし、政宗様のフォローがあるから大丈夫でしたが。
竜徳寺家の人々は政宗様除くとみんなクズだな！！！
って感じ。
特にご当主様！ ほんと、あんたのせいでいろいろ大変なことになったんだぞ！！
マジで自分勝手。
執事の立花は当主に一番似ている政宗様を推していたけど、全然似てないからな！！
主役二人除いた人たちがあまりにも自分勝手でクズばっかりですが、ちゃんと心のオアシスもあり。
ピュアな幼女（母親はほんとクズ）も可愛いんですが、マリカちゃん！！！
BLに出てくるこの手の強い女の子が大好きです！
そして彼女の言葉によって変化する人物も……この二人よかったな～。（BL外）
怪しいな、という人はすぐに開示されるので、「どっちが犯人なんだろうなあ」と思いながら読み進めました。
それが両方犯人で、しかも実行犯は別にいる･･････
ってなったときに、「やられた！」と思いました。
そうかあ。あのどうでもいい警察内不祥事、伏線だったんだな･･････。今回はさすがに、犯人を当てる勘が働かなかった。
これ二時間ドラマにしても面白そうです。
ボーイズラブの部分はご主人様への憧れや、可愛い子犬みたいな部下を可愛がるレベルに抑え込めば実写化いけるのでは？
なんか「科捜研の女」とか「相棒」とかの警察ドラマに通じる真犯人だったので、ドタバタバディで見たい。
政宗様は誰がいいかなあ～。（妄想中）
帯のセリフが「経験がないくせに、じらすのだけはうまいな」というちょっぴり刺激的なセリフ。
しかし、
本編での使われ方そこ？
焦らし方、それ？？
って笑っちゃいました。
ミステリ書くの大変そうだな～、と思うのですが（読み専の私）、これからもBL×ミステリ、期待しております！
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