「冷酷アルファ王子と不屈のオメガ妃殿下」(椿ゆず)

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レビュー

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『冷酷アルファ王子と不屈のオメガ妃殿下』(椿ゆず)

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第21回角川ルビー小説大賞・読者賞受賞の作品。
twitterでお世話になっている、椿ゆずさんの商業BL小説デビュー作となります。
デビューおめでとうございます!

ゆず先生といえば、すでに人気コミック『みなと商事コインランドリー』の原作を手掛けていらっしゃいます。

(2巻まだ買えてねええ)
(BLコミックスの棚にない場合がほとんどなので注意)

「みな商」でも発揮されている、ゆず先生の作品の魅力のひとつは、軽妙な会話のテンポだと思います。
まるでキャラクターが目の前で喋っているかのように感じられます。

オメガが治める国の公子・アキトは自国で蔓延する病気の薬を求め、アルファの治める国へ。
交渉相手の王子・リークは傲慢な態度で臨み、薬の対価としてアキトに夜伽を命じる。

最初の方の攻めにイライラというか、ヘイトが溜まります。
アキトに靴を舐めさせたシーンとか、ほんっと、お前何様!?(王子様や)って感じでした。
久しぶりに登場人物に対して怒りが湧いて、いったん冷静になるために本を閉じましたね・・・・・・。
オメガを蔑むお国柄なのに、オメガを妾に望むリークの事情はすぐに察せられるのですが、「若いのに気の毒」という同情ができなかったです。
悪いな、リーク!

アキトが勝ち気で強く、読者の「リーク最低!」という気持ちをきっちり代弁してくれるので、楽しく読み進めることができました。
アキトがリークより年上っていうのもよかったのかも。
これで年齢差逆だったら、「よし、私に殴らせろ!」っていう感想になっていたかも……。


とにかくアキトは口が悪いのですが、彼の根底にあるのは家族や国への愛情。
その感情はリークも強く心に抱いている(からこそ、世継ぎのプレッシャーによってEDを患うことに)。
二人の違いは、周囲を頼ることや愚痴をこぼすことに慣れているかどうかだと思います。
アキトは周りに甘えるのが上手だからこそ、甘やかすのも上手いんだな、と思いました。

冒頭であんなに嫌な奴だったリークですが、激務に追われているのを見かねたアキトの子守歌で眠ってしまうあたり、なんだよ、可愛いじゃん・・・・・・ってなります。
作中ではアキトしかその可愛さ愛しさわかってくれませんが、読者はわかってるよ!

病を得て瀕死になるリークとアキトのやりとりは、魂のぶつかり合いという感じで、ぐっときました。
ファンタジー設定のいいところ(?)って、命の重さが現実世界とは異なる点。
魔王と剣や魔法で戦う世界じゃなくても、ファンタジー世界はどこか、現在を生きる我々よりも生と死が身近に感じられる世界ばかりです。
だからこそ、心に決めた相手と一緒に死にたいと思う。
だからこそ、愛した相手には笑って生きていてほしいと思う。
どちらの言い分もよくわかるので、ハッピーエンドなのは理解していても、ドキドキする場面でした。

(超自分語りなんですけど、ファンタジーBLを自分で書いたときの記録に、「えーい、殺してしまえ!」って書いてある)

個人的にはガウリンが幼女に陥落させられるのを待っています。
大人になったら、「ガウリン様、もう私、子どもではありませんの!」とか言ってぐいぐい迫るに決まっている。
だってアキトの妹だもの!

(超余談ですが、ジャニーズWESTのオタク、アキトを照史で単語登録しているので、変換には細心の注意を払いました)

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