愛されたがりさんと優しい魔法使い(川琴ゆい華)

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レビュー

12月もBL・非BLいっぱい買ったので読んでレビューしていきます。

「愛されたがりさんと優しい魔法使い」(川琴ゆい華)

雑誌ディアプラスの巻頭カラーで、「イケメンがカードキャプターになってる????」となった表題作。
イケメン(笠井あゆみ先生画)がハートのネクタイピン&女児アニメの玩具のようなステッキを持ってるんですもの。

でも攻めの奇怪な装い以上に受けの方が衝撃的でした。
stand.fmで「今月はこんな小説買ったよ~」という番組を配信したときに、「帯にも書いてあるんですけど、さすがに破廉恥過ぎてここでは言えない」と言った単語。
漫画とかpixivのハートマーク乱舞するような小説(と言っていいのかな、あれ)では出てきそうな単語ですが、商業小説ではあまり見ない単語。

攻めが悪趣味な魔女によって記憶喪失の魔法使いにさせられ、魔法で受けのことを幸せにしなければならない・・・・・・。
無欲というか、

「お金や地位や名誉だと、『自分の力じゃなくて人から与えられたもの』って頭の片隅にあるだけでもう、不幸な気がするんですよね・・・・・・(後略)」(P28)

「愛されたがりさんと優しい魔法使い」

という価値観の持ち主である受けの史。
彼が攻めに迫られてぽろっと漏らした願望は、そう、「メスイキしてみたい」・・・・・・。

雑誌で読んだときに驚きすぎて笑ってしまって、そこでいったん手を止めました。
本人は大真面目なんですよね。
ずっと勃起不全で、恋人を作ることなんかも淡々と諦めていて、たまたま見た「メスイキえちえち動画」を見て、「射精しないなら自分でもできるかも?」と思うのはわかる。
わかるんだけど、「メスイキ」という単語が何度も出てくるの、ニヤニヤしちゃう。

そんなお願いから始まるので、当然エッチシーンは全力で、でろでろで甘々です。
メスイキもしますし、勃起不全も治ります。

でもエッチシーンよりも何よりも、二人のやりとりが好きだな~、と思います。
普通の人間に戻るために、史のことを幸せにしなければならない攻め。
だから自分に優しくしてくれるし、エッチにも付き合ってくれているのではないか。
そう考える史ですが、不思議とウザくならないのは、二人が言葉を丁寧に積み重ねているからかもしれません。
二人の会話のひとつひとつがあったかいし、周りの人たちもいい人ばかり。

個人的には攻めの同僚の話す、「優しさには二種類ある」というくだりが印象に残りました。
強さに裏打ちされた優しさを、魔女に記憶を奪われる前から、攻めは持ち合わせていた。
でも、表現することはできなかった。
記憶をなくす前から史が優しさを発揮しているシーンに遭遇していて、ずっと意識していて、「ああいうことができるようになりたい」と思っていたからこそ、同僚たちが驚くくらいの変貌を遂げました。

そして史は自分の優しさを弱さや愛されたいゆえだと卑下しています。
それは書き下ろしの続編でも変わらず、攻めと家族の関係に、恋人としてどこまで踏み込んでいいのかわからず、魔女につけ込まれてしまう隙を与えます。
ラストで「愛されたいのは愛しているから」という指摘を受け、タイトルの「愛されたがりさん」の意味を本当に理解できるようになるのがよかったです。

受けが卵料理専門の惣菜屋さんをやっていて、出てくる料理が美味しそう。
出し茶漬けオムライス、それっぽいものなら自分でも作れそうだな~。

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