学生時代は文庫ばかり買っていたので、ノベルスを買い始めたのが最近なんだけど、リンクスって一段組と二段組と、書籍によって両方あるんですね-、というのが最近の発見でした。
「ラスボス予定の聖騎士に求婚されています」(村崎樹)
↑Amazonに飛びます。電子書籍には限定ss付き。
ということで、村崎樹先生の三作目は二段組でボリュームたっぷりです。(異世界ファンタジーって、なんだかんだ世界観の説明で文字数食うよね)
社畜の織人は、昔買ったRPGゲーム「ディサピアード・セイント」(どうでもいいけどこのゲームのタイトルですでにシルヴィスの闇堕ちはネタバレしているのだった・・・・・・)の世界へとトリップしてしまう。
最初に出会う仲間でありながら、ラスボスへと化してしまう聖騎士・シルヴィス。
彼と旅をしていくうちに、なぜか女主人公の恋愛ルートに突入し、求愛されてしまうことに・・・・・・。
どうにかしてシルヴィスの闇堕ちを止めたい! というお話。
シルヴィスが表紙イラストや「聖騎士」という職業からイメージされる人物とは違ったのが印象的でした。
清廉潔白な公の顔と、織人の前で見せるちょっとやんちゃな私的な顔。
いい意味で二面性がある性格が、ギャップ萌えに繋がっています。
偉大なる兄の影に重圧を感じている彼が、唯一素を見せる織人はといえば、実家でも職場でもいなくていいような軽い存在(と、本人は思っている)。
主人公の立場でトリップした世界でも、コミュ障なところが出てしまい、それをシルヴィスがかばってくれたりする。
ゲームや小説など、フィクションの世界へのトリップだと、転移者(転生者)は既知のストーリーラインを辿って、無双状態になるのがテンプレ展開です。
この話も、モンスターと戦うときの戦略面で大いに知識は発揮され、織人はパーティのリーダーになります。
そして聖騎士団の重要任務の指揮にまで抜擢されます。
ここのシーンがめちゃくちゃ好きなんですよ。
それまではきっと、攻略本知識で戦っていた織人が、自分の頭でヒッポグリフに信頼される方法を考えて、それがどんなに格好悪いことであっても実行して、実際うまくいくんだもの。
知識じゃなくて知恵、そして行動で情勢を変えていく。
そしてこのシーンで、織人という男の人間性が読み取れるんですよ。
FANBOXで、
「人物の性格や特徴は、会話じゃなくてエピソードで」
ということを書きました。
それってこの織人のシーンなんじゃないかな、と思うので、ぜひとも創作に悩んだ方は読んでみてほしいです。
ラブコメ読んでるときの「それは悪手だってー!!!」っていうのが今回モロに闇堕ちに直結していて、ちゃんと話しておけばいいのにね……でもそれだとストーリーが成り立たないんだよなあ。
この辺、なかなかうまくいかないですね。
BLに限らずファンタジー小説の好きなところって、
- ・人の命が軽いこと(サイコパス・葉咲)
- ・絶対悪を出しやすいこと
- ・過剰なセリフを言わせても決まること
ですが、ファンタジーBLに限定していえばもうひとつありましたね。
媚薬が存在する
という点です。
現実世界の媚薬って、どう考えても非合法だし、製造過程謎だし、安全性も担保されていない・・・・・・。
その点、異世界ではどうとでもできます。
この話ではマンドラゴラが媚薬・精力剤の原料になるということで、エッチシーンのサポートをしてくれます。
私も空飛ぶ羊見てみたいなあ~。
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