みんな愛してるから 夏織(10) <<はじめから読む! <9話 現在文也が暮らしているマンションに移るだけなので、準備にそう人手はいらない。 夏織の主張は通らなかった。妊娠してから、文也はとても過保護になった。まだ安定期じゃないんだから、と諭された。 「ごめんね、明美。... 2020.06.01 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(9) <<はじめから読む! <8話 次の日すぐに、文也は夏織が妊娠したことを上司に申し入れ、退職の旨を切り出した。夏織は彼の隣で、黙っているだけでよかった。 おめでとう、という祝福の声が、ぱらぱらと上がった。以前子供ができた職員に対しては、も... 2020.05.31 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(8) <<はじめから読む! <7話 「おめでとうございます」 給湯室で昏倒したところを発見され、病院を訪れた夏織に対して、医師は祝福した。内科やら外科やらの問診を元に、最後に回されたのは婦人科だった。 ストレスなのか、それとも何か大きな病気な... 2020.05.31 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(6) <<はじめから読む! <5話 逃がすな、と明美は強く主張したが、そもそも文也のような人間が、他の女にふらっと来たようなことがあるとしたら、それはもう、本気なのではないか。 本当に私でいいの? 他に誰か、好きな人でもいるんじゃないの? ... 2020.05.30 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(5) <<はじめから読む! <4話 こっちこっち、と手招きされて、夏織は小走りに駆け寄り、「ごめん! 遅れて!」と手を合わせた。 「ほんとよ。自分で遊ぼうって呼び出しておいて遅れるなんて。相変わらずね、夏織」 明美あけみはそう言って、紅茶のカ... 2020.05.30 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(4) <<はじめから読む! <3話 翌朝、出勤してきた百合子を待ち構えて、文也は人目につかない場所へと呼び出した。 はらはらした思いで見守っているのは夏織だけではなかった。昨日の食堂での一件は、思った以上に目立っていたようで、文也と百合子の向... 2020.05.30 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(3) <<はじめから読む! <2話 職場から離れた店を、夏織は指定した。同時に庁舎を出ては意味がないので、文也には悪いが時間を潰してもらって、夏織は先に出た。 バスに乗って、十分少々。待ち合わせの喫茶店に、先に入店する。 昼はいいが、夜はや... 2020.05.27 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(2) <1話 四月の頭まで、転入ラッシュによる市民課の繁忙期は続いた。文也は福祉課所属で、五階で業務に励んでいるので、平日はスマートフォンでのメッセージのやり取りだけが、二人の恋人同士の触れあいであった。 本当は、昼休みに食堂で話すことができ... 2020.05.27 みんな愛してるからライト文芸長編小説
みんな愛してるから 夏織(1) 「結婚を前提に、お付き合いしてください」 深々と頭を下げた男のつむじを、夏織かおりはぼんやりと眺めた。あ、二つある。なんて、どうしようもないことに気がつくのは、余裕があるからというよりは、現実味が薄いからだった。 夕暮れのビーチや、おし... 2020.05.27 みんな愛してるからライト文芸長編小説
ファンタジー 王女様は本の虫 天使の指先がページを捲るのを、エミールはしばらく眺めていた。装飾品などひとつもつけていないのに、真珠のように真っ白に輝いている。 じっと、群青色に瞬く目を、手元の本に向ける。はらり、と額にかかったのは夜と夕の狭間の、淡い光を放つ藍の色をし... 2020.03.25 ファンタジー短編小説