サイコ

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ライト文芸

業火を刻めよ(25)

<<プロローグから読む! <24話 「もう行っても無駄だ」  エリーの声に、ヒカルは強く反発した。 「そんなの、わかんないだろ! ただ単に、風邪ひいて寝込んでるだけかもしれないし」  語尾にかけて声が小さくなっていった。そんな単純な話ではな...
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業火を刻めよ(24)

<<プロローグから読む! <23話  悩みに悩んだ末、ヒカルはウサギのぬいぐるみの入った鞄を、持って出かけた。エリーは何も言わなかった。声が聞こえないと、本当にただのぬいぐるみにしか見えない。彼が今、モニターで観察しているのかどうかさえ、ヒ...
ライト文芸

業火を刻めよ(22)

<<プロローグから読む! <21話  ファッションビルの中のトイレは便利なもので、着替え台がついている。そこを利用して、桃子は制服姿になって出てきた。メイクはギリギリまでそのままで帰路につく。大人びた顔とセーラー服は、アンバランスだが、それ...
ライト文芸

業火を刻めよ(21)

<<プロローグから読む! <20話  予約していた美容院で、親にばれないよう、長さをほとんど変えずに整えてもらった。コテで巻かれていく自分の髪の毛を、鏡越しに桃子は見つめている。お喋りな美容師が話しかけても、桃子は反応しない。 「大丈夫だっ...
ライト文芸

業火を刻めよ(20)

<<プロローグから読む! <19話  待ち合わせ場所に指定したのは、彼女の通う高校の、校門前だった。土曜日は休日で、部活にやってくる生徒しかいないが、若い男がいるのは珍しいらしく、チラチラとこちらを見てくる。  兄でーす、という顔をして、ヒ...
ホラー

最高のミートソース

母は、料理上手な人だった。専業主婦として、持て余した時間を、すべて夕食の支度に使ってしまうような人だった。  だから私の家の食卓には、ほとんど毎日、誕生日とクリスマスがいっぺんにやってきたようなごちそうが並んでいた。  なんでもやってみたい...
ライト文芸

業火を刻めよ(19)

<<プロローグから読む! <18話  タオルの海の中に転がっていたウサギには、外の音は拾いにくかったようだ。ヒカルが桃子と何かを話していることは集音マイクが拾っていたが、中身までは気づいていなかった。  桃子の方よりも、自分の問題の方が厄介...
ライト文芸

業火を刻めよ(18)

<<プロローグから読む! <17話  月曜日。珍しく桃子の方が先に、公園に来ていた。先日の風見の件もあって、ヒカルはしばらく、声をかけずに離れたところから見ていた。  彼女は鞄から取り出したのは冊子だった。教科書やノート、参考書の類ではない...
ライト文芸

業火を刻めよ(17)

<<プロローグから読む! <16話  桃子の通う学校は女子校だ。ヒカルが周辺をうろちょろするのは、通報される可能性が高いと見て、学校周辺の監視はエリーに免除された。その代わり、放課後は毎日、通学路で桃子の帰りを待つ。  待ち伏せしている気持...
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業火を刻めよ(16)

<<プロローグから読む! <15話  少女の歩幅に合わせて歩くのは、窮屈だが、苦痛ではなかった。ただ、何を話せばいいのかはわからずに、黙っていた。  沈黙に耐えられなくなったのは、ヒカルではなく、桃子の方だった。  彼女は他愛のないことを話...
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