サスペンス

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ライト文芸

断頭台の友よ(29)

<<はじめから読む! <28話  早馬を走らせ、屋敷の前に辿り着いてから、クレマンは自分の浅はかさに舌打ちをした。今日はオズヴァルトがいない。約束をしていないクレマンに、彼らは会ってくれるだろうか。  とっぷりと日が暮れており、今頃は食後の...
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断頭台の友よ(28)

<<はじめから読む! <27話 「ああ、乾燥のせいですね。赤くなっている」  まだまだ先は長いので、手早く終わらせるため、クレマンは保湿剤を調合し始める。引っ掻きすぎて傷になっているところもあるので、炎症を抑えるはたらきのあるハーブを混ぜて...
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断頭台の友よ(27)

<<はじめから読む! <26話  オズヴァルトは、女性の話を聞き出すのに難儀しているようだった。標的にした女性は、オズヴァルトが考えていたよりも、もっとずっと、情に深い人であった。幸せな結婚をしていても、無惨に殺された元婚約者のことを頭から...
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断頭台の友よ(26)

<<はじめから読む! <25話  夜遅い時間までかかって、翌朝の診療の準備を終えたクレマンは、そっと寝室へと入った。朝早くから家事に勤しむ妻には、先に眠るように言ってある。灯りはすでに消えていて、今日はちょうど新月。月明かりも何もない寝室は...
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断頭台の友よ(25)

<<はじめから読む! <24話 「でも、これまでよりも一歩踏み込んだところまで話を聞けそうな人と親しくなったんだ。今日も彼女と会うから、これから先に期待してほしい」  広く浅くから、狭く深くに的を絞って聴取をする作戦に切り替えたオズヴァルト...
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断頭台の友よ(24)

<<はじめから読む! <23話  ひとつ。遺体はすべて、首を斬り取られているのは周知のとおり。他の外傷に関しては、致命傷になりうるものは発見されなかった。  このことより、首斬り鬼はその名のとおり、単純に首を斬り落とすことではなく、「首を斬...
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断頭台の友よ(23)

<<はじめから読む! <22話  クレマンが同僚たちのところを回って情報を得ていったのと並行して、オズヴァルトはあちこちの社交の場を訪れて、被害者たちの評判について聞き回っていた。もちろん、直接「亡くなったなんとか氏のことを教えてください」...
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断頭台の友よ(22)

<<はじめから読む! <21話  オズヴァルトの描いたイヴォンヌは、紙の上に死体が蘇ったようだった。クレマンの知る一番上手い絵描きでさえ、映し出された死体には主観が入る。  こんなに屈強な男が殺されるはずがないという先入観があれば、やや細め...
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断頭台の友よ(21)

<<はじめから読む! <20話  男はクレマンの心の機微を解さない人間である。どこまでも打算的で、利己的で、神よりも金や名誉といった、現世での利益の信者であった。ゆえに、あの上司のもとでも反発せずに働くことができるのだろう。 「それで、何の...
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断頭台の友よ(20)

<<はじめから読む! <19話  非番である同僚を尋ねると、思った以上に歓迎された。狭い応接室に通され、特別なときにしか出さないという茶と茶請けが提供される。あまりの歓待に目を白黒させたクレマンに、同僚はこそこそと耳打ちをした。 「こないだ...
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