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ライト文芸

高嶺のガワオタ(15)

<<はじめから読む! <14話  飛天が映理を呼び出したのは、それから二週間後のことだった。六月に入り、梅雨前線の北上が毎朝のニュースの話題に上がるようになっていた。  静かにドアが開いた気配を背後で察知したが、飛天は目の前のことに集中する...
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高嶺のガワオタ(14)

<<はじめから読む! <13話  結局飛天は、その日のうちに連絡ができず、週末の予定はなしになった。映理の方から誘ってきてくれても……と思わなくもないが、「あそこに行きたい」と言われても、叶えられない自分に、とことん嫌気がさす。  朝食後も...
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高嶺のガワオタ(13)

<<はじめから読む! <12話  国立西洋美術館だとか、新国立美術館だとか、そういうメジャーな場所を外してのデートには、限界があった。  飛天はスマートフォンを手にしたまま、深い溜息をつく。  個人経営の小さな美術館やギャラリーは、頻繁に展...
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高嶺のガワオタ(12)

<<はじめから読む! <11話  小さな美術館だった。自分で選んでおいてなんだが、飛天は特に芸術に興味があるわけではない。静物画や人物画は、上手い下手くらいの区別はつく。だが、この美術館に飾ってある絵のほとんどは、抽象画だ。  謎の図形がラ...
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高嶺のガワオタ(11)

<<はじめから読む! <10話  スマホ片手に悩みに悩んだ結果、飛天が初デートの場所に選んだのは、美術館であった。それも、国内外の超大作を公開し、行列するような特別展示中の場所ではない。  個人経営の、自分の家にあったコレクションをひっそり...
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高嶺のガワオタ(10)

<<はじめから読む! <9話  スマートフォンの中に、新しい連絡先が増えるのは、久しぶりのことだった。  ソファの上で電話帳を眺めていると、自然と唇が緩んできてしまう。 「お兄ちゃん、キモイよ」 「失礼な」  言いながら顔を上げると、水魚が...
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高嶺のガワオタ(9)

<<はじめから読む! <8話 「ごめん。俺が……いや、俺たちが気づいて止めるべきだったのに、できなかった」 「落ち込まないでください。今日はスタッフさん、いつもより少なかったでしょう? 目が行き届かない部分もあります。それに」  肩を落とし...
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高嶺のガワオタ(8)

<<はじめから読む! <7話  運転手付きの車に乗せられたことから、薄々わかっていたが、相手はどこかいいところのお嬢様らしい。連れてこられたのは、今の飛天には場違いとしか思えない、ホテルのラウンジだった。  尻の沈み具合だけでわかる、高級な...
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高嶺のガワオタ(7)

<<はじめから読む! <6話  臨時雇いのピンチヒッターだからか、給料は手渡しだった。汗で蒸れたスーツを脱いで、タンクトップ一枚でいるところに、次郎の上司が現れて、封筒を手渡していった。 「本当に助かりました。これ、そんなに多くはないんだけ...
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高嶺のガワオタ(6)

<<はじめから読む! <5話  なんだ? と目を凝らせば、どうやら言い合いをしているのは男女だった。服装が釣り合わないので、一緒に来たわけではなさそうだ。  いかにも「オタクでござい」と主張している服の男が一方的に怒鳴り散らし、清楚な花柄の...
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