バディ

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ライト文芸

断頭台の友よ(89)

<<はじめから読む! <88話  マイユ邸に行くのはそういえば、久しぶりのような気がした。  捜査のためにいくつもの金持ちの屋敷を訪れたし、何ならギヨタンとの会合のために城にまで呼ばれたが、オズヴァルトが暮らす館は、細部にまで金をつぎ込み手...
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断頭台の友よ(88)

<<はじめから読む! <87話  クリスティンとは、直接会うことがないままだった。手紙のやりとりだけを続けている。もっとも、彼女はまだ字を習っている最中だということなので、代筆の文章がサンソン邸には届けられる。 「ブリジット。クリスティンか...
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断頭台の友よ(87)

<<はじめから読む! <86話  首斬鬼が、自殺願望をもつ者を殺しているのだと仮定して。  行きとはうってかわって、ゆっくりと馬に揺られながら、クレマンは思う。  生に貪欲な赤ん坊を殺す理由が、ずっとわからなかった。こちらの事件もまた、模倣...
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断頭台の友よ(86)

<<はじめから読む! <85話  馬を走らせて、バロー家に辿り着く。主人のゴーチエは、不機嫌さを隠さない。クレマンを家にあげることを拒否しようとしたが、役人としての権力を発揮した。捜査に協力をしなければ、公務の執行を妨害したとして逮捕すると...
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断頭台の友よ(85)

<<はじめから読む! <84話  一週間後、産婆のところを二人で訪れた。経験豊富な中年の女性は、ブリジットの身体をよく観察し、聞き取りをし、妊娠を告げ、いくつもの注意事項を列挙した。クレマンはひとつひとつ詳しく掘り下げて尋ね、すべてメモを取...
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断頭台の友よ(84)

<<はじめから読む! <83話 兆候に気づいたのは、代々医師であろうとしてきたクレマンではなく、たまたま治療院にやってきた老女であった。  彼女は診察室から出ても、待合室で同じ年頃の女性たちと喋っていた。実権を嫁に譲り、農作業も腰の痛みがひ...
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断頭台の友よ(83)

<<はじめから読む! <82話  歓迎の意味を込めたごちそう、というわけにはいかなかった。サンソン家の財力を考えれば、当たり前だ。ブリジットは金を使えない分、心を込めて下ごしらえをして、丁寧に調理した。幼い子供が苦手とする香味野菜の類は細か...
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断頭台の友よ(82)

<<はじめから読む! <81話  しばらくドタバタしていたが、ようやく西の孤児院の新しい院長が決まった。教会から派遣された修道女で、東の孤児院の院長とも懇意にしている。クレマンは胸を撫で下ろした。あの自らを律し、子供たちのために奔走している...
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断頭台の友よ(81)

<<はじめから読む! <80話  クレマンは、オズヴァルトとともに首を眺めにいった。 「生きていても醜い人間は、死に顔はより醜いもんだな」  ぽつりとオズヴァルトが言う。確かに、クレマンが自身の剣で屠ってきた者どもは、ほとんどがグロテスクな...
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断頭台の友よ(80)

<<はじめから読む! <79話  院長だった男の死刑は、すぐに執行される。彼は貴族ではなかった。地方都市の地主の家に生まれ育ち、出稼ぎに王都にやってきて、そのまま住み着いた。だから斬首刑ではなく、絞首刑が妥当であったが、今回は事情が違った。...
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