BL オメガに説く幸福論(11) <<はじめから読む!<(10) 背中の古傷が、疼く。 それは寒さのせいだけじゃないと、リッカは気づいている。 あの日触れた指先と、もしかしたら唇が、今もなお、這っているような気がして、じわじわと熱を孕んでいる。 気を抜くと、「傷物なんかじゃ... 2024.11.17 BLオメガに説く幸福論長編小説
BL オメガに説く幸福論(10) <<はじめから読む!<(9)「陛下はアンジュ殿の輿入れを望んでいらっしゃる」 とうとう来たか。 リッカは一度目を閉じて、心中の嵐を落ち着かせてから、「かしこまりました」と言った。本当は、血反吐を吐いてでも抵抗したいところである。 吐いたとこ... 2024.11.16 BLオメガに説く幸福論長編小説
BL オメガに説く幸福論(9) <<はじめから読む!<(8) 番う寸前のカップルがちらほらと現れてきたのを見て、リッカはあと少しで自分の役目も終わると、大きく背伸びをした。 問題があるとすれば、シャルル国王の件だ。 やはり王の番となると、アンジュしかいなかった。何度か茶会... 2024.11.12 BLオメガに説く幸福論長編小説
BL オメガに説く幸福論(8) <<はじめから読む!<(7) エルフの国の生活は、順調だった。 リッカはエルフ族の面々と顔を合わせた。身分の上下関係なく、彼らのうちアルファ因子を持つ者を記録していった。 いきなり番わせるわけにはいかない。相性のよさ、互いの感情を積み重ねて... 2024.11.09 BLオメガに説く幸福論長編小説
BL オメガに説く幸福論(7) <<はじめから読む!<(6) エルフという生き物の優雅さ、美しさとは対照的に、彼らの家は、どこか朴訥としていた。それは王城であっても同様で、森の民ではないリッカも、なぜか懐かしさを感じた。 自然との調和が、エルフの求める最良の生き方なのだと... 2024.11.07 BLオメガに説く幸福論長編小説
BL オメガに説く幸福論(6) <<はじめから読む!<(5) 結局、キルシュとランが正気を取り戻した状態で出てきたのは、三日後であった。 ランの首筋には、何度も執拗に噛んだ傷痕が残っていた。食事の差し入れやらなんやらで、何かと目をかけていたアンジュが「おめでとう」と言えば... 2024.11.06 BLオメガに説く幸福論長編小説
BL オメガに説く幸福論(5) <<はじめから読む!<(4) 二週間の旅路のうち、半分ほどまでは何事もなく過ぎていった。 周期に当たっていなくても、環境の変化によって発情期がずれる可能性がある。リッカも含め、エルフの国に向かうオメガは全員、抑制剤を一日一回、服用していた。... 2024.11.05 BLオメガに説く幸福論長編小説
BL オメガに説く幸福論(4) <<はじめから読む!<(3) 旅の支度はすぐに終わった。基本的に、大きな荷物は必要ない。行ったら行きっぱなしの旅だ。 相性の合うアルファ候補がいなければ、ともに行く少年たちは帰ってくることもあろう。あるいは番となっても、エルフの国になじめな... 2024.11.03 BLオメガに説く幸福論長編小説
BL オメガに説く幸福論(3) <<はじめから読む!<(2)「失礼します」 エルフの一団は、基本的には都の高級宿に宿泊している。例外はエドアールで、王族の彼だけは、王宮の客間に泊まっていた。 用意していた小さな会議室には、今回派遣されてきた騎士団の団長であるエドアールと、... 2024.11.02 BLオメガに説く幸福論長編小説
BL オメガに説く幸福論(2) <<はじめから読む!<(1) エルフの国へ行くのは、リッカの他に七人の年若い、番のいないオメガたちと決まった。 十四から十六の、妊娠・出産に適した年齢の少年たちには、リッカが直接告げに行った。 家族で暮らしている者もいれば、国の援助を受けて... 2024.10.30 BLオメガに説く幸福論長編小説