ファンタジー

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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(32)

<<はじめから読む! <31話 「わぁ」  まったく異なる風景に、思わずベリルは子供っぽい声を上げた。庶民向けの店からやや高級な店まで、まさしく玉石混淆である。広場には市が立ち、屋台が並ぶ。  出稼ぎに来た田舎者も、お忍びの貴族も、この場所...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(31)

<<はじめから読む! <30話 「それではベリル様、参りましょう」  差し出された手を取ろうとしたら、見送りにやってきたシルヴェステルによって阻まれた。彼の手は、人間の手より断然大きく、力強い。ぎゅう、と思いきり力を込めて握られて、ジョゼフ...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(30)

<<はじめから読む! <29話  時折、カミーユを通じて手紙でベリルの様子を報告してくるので、それだけは役に立っているといえるか。  むしゃむしゃと一心不乱に菓子を食べ続けるシルヴェステルの肩に、隣に座ったベリルはもたれかかった。擦り寄って...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(29)

<<はじめから読む! <28話 「陛下。お茶はいかがですか?」  眉間に皺を寄せて唸っているところに、明るい声がかけられた。彼が持つトレイの上からは、黒茶のいい香りが漂ってくる。ふと時計を見ると、午後の業務を始めてから、すでに二時間が経過し...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(28)

<<はじめから読む! <27話  ナーガが淹れ直した茶を受け取ったジョゼフは、しきりに恐縮していた。一応ベリルが後宮の主のはずだが、ジョゼフはナーガの男とは思えない美貌に心奪われたのだろう。友の語らいには邪魔でしょうから、と部屋の隅に退いた...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(27)

<<はじめから読む! <26話 「ナーガは、竜人? それとも人間?」  生活をともにしていても、ナーガは謎めいた存在である。自分よりもだいぶ高い背丈だが、竜人にしては線が細い。目を閉じたままの生活を自分に課している彼に、上司は力仕事を任せな...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(26)

<<はじめから読む! <25話  自室に戻ったベリルに、ナーガは胸を撫で下ろした。 「ああ、ベリル様。急にいなくならないでくださいませと、あれほど」  それほど長い付き合いではないが、シルヴェステル以上に一緒にいる男である。これは長くなりそ...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(25)

<<はじめから読む! <24話 「いいんですか。あんな約束して」  呆れたカミーユの小言は、聞き飽きている。ベリルを拾ってから、「陛下は甘すぎます!」と、何度苦言を呈されたことか。  仕方ないではないか。笑顔が見たくて、つい甘やかしてしまう...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(24)

<<はじめから読む! <23話  妃を後宮に迎えたからといって、王の仕事が休みになることはない。どころかますます忙しくなったのは、シルヴェステルから後宮に行く時間と気力を奪い、その間にベリルを懐柔してしまおうという算段だ。  実際、繋ぎを取...
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孤独な竜はとこしえの緑に守られる(23)

<<はじめから読む! <22話 「私は、人間の母から生まれた」  竜王は、竜人族ではない。本性は、硬い鱗に覆われた巨大な身体の竜そのものだ。  王が衰えると、国のどこかで竜王となる者が産み落とされる。人型は仮初めの姿だ。必然的に、産まれたば...
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