平凡受け

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臆病な牙(11)

<<はじめから読む! <10話  慎太郎と顔を見合わせ、二人できょろきょろと辺りを見渡すと、水色の甚平を纏った、五歳くらいの男児が、涙を擦り、しゃくりあげながらとぼとぼと歩いているのを見つけた。  疑いようもなく、迷子である。周囲には何人も...
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臆病な牙(10)

<<はじめから読む! <9話  慎太郎が半吸血鬼で、血液を必要としているとわかった日から、待ち合わせの場所は、駅前ではなくて、慎太郎の部屋になった。  遊びに行くのも週に一回程度だし、外で貧血で倒れられても困る。  定期的に血を飲んでいれば...
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臆病な牙(9)

<<はじめから読む! <8話 「いっ!」 「大丈夫かよ、月島」  サークル活動を通して、だいぶ上達したと思った針仕事であったが、気を抜くと指を突き刺してしまう。  香山が「絆創膏いる?」と尋ねてくるが、ぽっちりと血が滲んだだけなので、断って...
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臆病な牙(8)

<<はじめから読む! <7話  目を覚ました冬夜の額には、慎太郎のために購入した冷却シートが貼られていた。身体を起こすと、真っ先に目に入ったのは、ぴしりときれいに土下座をしている慎太郎の姿だった。  顔立ちは西洋風なのに、仕草はどうしても日...
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臆病な牙(7)

<<はじめから読む! <6話  慎太郎と友人になってから、冬夜の生活は充実していた。  外に遊びに行くのは勿論新鮮だったが、慎太郎の優しさに触れることが、一番嬉しかった。  慎太郎の家は、家賃が高そうなマンションで、冬夜の住む学生アパートに...
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臆病な牙(6)

<<はじめから読む! <5話  待ち合わせの時間の十分前に、駅に着いた。入口の隅で、目立たないように立っている。  休日の午前中ということもあり、家族連れの姿も多い。  冬夜はスマートフォンを取り出して、ゲームアプリを起動させた。特にはまっ...
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臆病な牙(5)

<<はじめから読む! <4話  落ち着かない気持ちのまま、冬夜は十時には店舗前に着いてしまっていた。慎太郎は真面目な店員だから、きっと早めに出勤するだろうと踏んだのだが、それにしても少し、早すぎたかもしれない。  自動ドアが開かないように、...
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臆病な牙(4)

<<はじめから読む! <3話  特に何の進展もなく、コンビニに通うのも惰性になってきた頃、冬夜は無事に二年生へと進級した。  金曜日の五限の講義を終え、今日の夜中は、何を買いにコンビニに行こうかと思案しながら帰り支度をしていると、後ろからず...
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臆病な牙(3)

<<はじめから読む! <2話  店を出て、二次会に行こうと盛り上がる皆の輪から、冬夜はこっそりと外れて帰路についた。  電車に乗っている途中で、分厚い雲から雨が降ってきたので、扉に寄りかかりながら、冬夜は舌打ちをした。近くにいた女性客が、青...
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臆病な牙(2)

<1話  冬夜がコンビニに通い、「かざまき」という名の店員と少しでも距離を縮めたいと思ったのは、この夏のことだった。  その日、サークルの活動の打ち上げコンパに参加していた冬夜は、居心地の悪さを味わっていた。  普段の飲み会であれば、冬夜は...
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