日常

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ライト文芸

不幸なフーコ(16)

<<はじめから読む! <15話 「どこが可哀想なの?」 「え」  母親に捨てられて、祖父母に育てられているというのはかなり不憫だ。それに、彼女自身の性格もあって、なかなか友達ができないということも説明した。 「だって、おじいちゃんやおばあち...
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不幸なフーコ(15)

<<はじめから読む! <14話  哲宏と風子を交流させるという思いつきは、計画の時点で頓挫した。 何せ、通っている学校が違う。電車通学ならば、偶然を装って出くわすこともできるが、哲宏は自転車で近道をして通っている。  何もできないまま、終業...
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不幸なフーコ(14)

<<はじめから読む! <13話  スマホを取り出して母に連絡してみるものの、既読にすらならなかった。今日もどこかで何かしているのだろう。専業主婦だというのに、ちっともじっとしていない。ボランティアか、老人ホームに入っている曾祖母の見舞いか。...
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不幸なフーコ(13)

<<はじめから読む! <12話 「フーコ。ちゃんと真っ直ぐ帰りなさいよ!」  体育の授業があったから、今日は朝から放課後まで、ずっとジャージ姿だ。着替える手間が省けたので、さっと風子の教室まで行って、ぴしゃりと言った。 「わかってるよ。部活...
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不幸なフーコ(12)

<<はじめから読む! <11話  学校のテスト期間というのは、どこも似たようなもの。一応、探りを入れてみれば、例の工業高校もテスト中だ。駅で彼を見つけて、クッキーを渡すにはこの機会が望ましい。相手が部活やバイトをやっていたりしたら、帰宅時間...
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不幸なフーコ(11)

<<はじめから読む! <10話  心底呆れたように、信じられないように、風子以外の誰かが聞けば、そんなニュアンスを感じ取っただろう、「はぁ?」である。  しかし、ここにいるのは風子だけだ。他人の心の機微には、人一倍疎い。  彼女は身をくねら...
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不幸なフーコ(10)

<<はじめから読む! <9話  部活終わりのジャージのまま、風子の家に行った。  小学生の頃から変わらない佇まいに、安堵と同時に言いようのない不安や焦燥に駆られるのは、私だけだろうか。  天木家は変わらない。でも、周りはどんどん進んでいく。...
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不幸なフーコ(9)

<<はじめから読む! <8話  毎日七時間目まで授業を受けた後に、部活に参加するのは、正直身体がしんどい日もあった。  逆によかったことは、部員が少ない上に無理を言って入部してもらったという経緯が香織先輩からみんなに伝わっていて、あれこれと...
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不幸なフーコ(8)

<<はじめから読む! <7話  五月の連休も明けて、高校生活も少し慣れて、落ち着いてきた。哲宏の大きなお世話のアドバイスをよそに、私は相変わらず、風子と一緒に登下校をするだけの学校生活である。  一応、風子にも「部活とかしなくていいの?」と...
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不幸なフーコ(7)

<<はじめから読む! <6話  転校してきた風子に、両親がいないということは、割とすぐに広まっていた。  参観日のときに、ひとりだけ祖父母が来る。周りの母親たちに比べて年老いた自分を恥じることなく、風子の祖母は堂々と振る舞っていたし、風子も...
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