ライト文芸 星読人とあらがう姫君(20) <<はじめから読む! <19話 実家に雨子を置いて出てきたのは、いざというときに自分の身代わりにするためだった。背格好は似ているので、具合が悪いと布団に入っていればどうにかなるだろう。夜遅くになっても帰ってきていない、と騒ぎになることは避... 2020.08.16 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(19) <<はじめから読む! <18話 弘徽殿こきでんに露子はやってきた。女御に仕える女房たちの装束は、露子の着ているものよりも上等で、一張羅を着てきたにも関わらず、なんとなく露子はみすぼらしい気分になり自分の身体を見下ろした。 粗相のないよう... 2020.08.16 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(18) <<はじめから読む! <17話 暦の上では秋になったが、まだまだ残暑は厳しい。季節に合わせた単に、裳を合わせて露子はまず、俊尚の元を訪れた。 三つ指をついて礼をし、しばしの暇を請う。 「父が夏の暑さにやられ、先日倒れたとのことですので、... 2020.08.15 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(17) <<はじめから読む! <16話 やるべきだと思ったことをやる。そう決めた露子の行動は早かった。すっくと立ちあがり、自室を出ていく。 「露子様!?」 雨子の悲鳴を背中に聞いて、ずかずかと淑女らしからぬ足取りで渡殿を歩いていき、辿りついたの... 2020.08.15 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(16) <<はじめから読む! <15話 あの少年だ。露子ははっとする。うすぼんやりと彼の顔を思い浮かべる。不思議な色の、目をしていた。母の持っていた宝玉によく似た色の。 少年は、年の頃は十歳前後。まだ元服もしていなかった。見つけた、と夢の中の声... 2020.08.15 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(15) <<はじめから読む! <14話 もしも母に水を飲ませることができていたのなら、母の命の火は、再び燃えることがあったのだろうか。 成長し、大人になった露子はその問いに、否と答えることができる。 薬草も何も入っていないただの水に、そんな力... 2020.08.13 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(14) <<はじめから読む! <13話 外を歩けば熱波が襲ってくる夏だった。三つの露子が初めて経験する暑さだった。熱気によってまず、食欲がなくなる。そうすると体力も落ちる。母が倒れたのは、十日ほど前だった。 最初のうちは寝ていれば治る、と言い張... 2020.08.12 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(13) <<はじめから読む! <12話 姫様、大変ですぅ! と、普段露子にとかくおしとやかにしろと言ってくる雨子が、どたばたと戻って来た。 東の対からは確かに通行らしい壮年の男の声が聞こえてきた。相も変わらず俊尚は喋らなかったようだが、その点は... 2020.08.12 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(12) <<はじめから読む! <11話 烏の言葉どおり、俊尚の来訪は絶えた。 「それにしても本当に、烏も何も言ってこないとは!」 雨子は怒り狂っているが、露子は落ち着いていた。ただ、あの夏の夢を毎日見て、理由もわからぬまま、顔を知らぬ少年に謝罪... 2020.08.12 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(11) <<はじめから読む! <10話 烏が振り返り、振り返りしつつ立ち去った後で、雨子がぽつりと言った。 「……流行り病の季節ですわね」 「うん」 水無月みなづきに入り、暑さは増している。蒸した空気はどこへ行っても逃れられるものではなく、健康... 2020.08.11 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説