陰陽師

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ライト文芸

星読人とあらがう姫君(10)

<<はじめから読む! <9話  露子が俊尚に嫁ぎ、一月が経った。相変わらず夫である俊尚は多忙なようだ。夫婦の会話というものは皆無であり、露子を気遣った雨子は、弟に宮中での俊尚の様子や評判を調べさせた。  すると、父親から聞いていたのとは真逆...
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星読人とあらがう姫君(9)

<<はじめから読む! <8話  烏がいなくなってから、手元に残された花橘を見つめ、露子は溜息をついた。雨子も神妙な顔をして、「どういう意味なんでしょうね……」と言う。  二人の頭にあるのは、橘の花を詠んだ、とある歌だった。貴族で知らない者は...
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星読人とあらがう姫君(8)

<<はじめから読む! <7話  翌朝目覚めた露子は、女房たちから質問攻めにされた。  旦那様はどのようなお姿? お優しかったですか? 逞しいお身体で、あちらの方もお強いのですか?  すべての質問が煩わしく、しかも答えられない問いばかりだった...
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星読人とあらがう姫君(7)

<<はじめから読む! <6話  その晩。白い寝間着に着替えた露子は、固唾を飲んで寝所で夫となる……いや、夫である男を待っていた。夕餉ゆうげ時にも彼は姿を現さず、食事の支度をしてくれた女に尋ねるが、彼女は何も言わずに首を傾げていた。  半日も...
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星読人とあらがう姫君(6)

<<はじめから読む! <5話  様々な儀式をすっ飛ばして、皐月さつきの中頃に、露子は源俊尚の持つ邸宅へと移った。雨子を始めとした数人の女房たちと共に、新しい衣と、亡き母が遺した数少ない調度品を牛車に詰めて、嫁入りをした。  通い婚でも一向に...
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星読人とあらがう姫君(5)

<<はじめから読む! <4話  そこから先はまさしく怒涛の二月だった。たくさんの嫁入り道具を、限られた人数の使用人たちは用意しなければならなかった。特に女房たちは、自分の家の姫が先方で馬鹿にされてはならない、と新しい衣を縫い上げていた。 「...
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星読人とあらがう姫君(4)

<<はじめから読む! <3話  十七の、しかも美人とはいえない露子を妻にと望んだ物好きは、なんと今上帝きんじょうていの兄君だという。幼い頃に父である先帝から源みなもと姓を下賜され、臣籍へと降下したのだ。 「三十歳? おじさんじゃない! 後妻...
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星読人とあらがう姫君(3)

<<はじめから読む! <2話  しかし結局、露子が入内することはなかった。そして三年経った今もまだ、独り身だ。雨子はさめざめと泣きながら、 「わ、わたくしがぁ、あんなときに声をかけなければぁ、今頃姫様はぁ……!」  と後悔の弁を述べる。  ...
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星読人とあらがう姫君(2)

<<はじめから読む! <1話  帝への入内の話が出たのは三年前、まだぎりぎり露子が適齢期だったときだ。大貴族の邸宅が並ぶ一角から外れた露子の家に、帝からの使者がやってきた。  応対した父が、露子の名前を呼びながら、渡殿わたどのをどたばたと走...
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星読人とあらがう姫君(1)

<はじめから読む!  ぱっちりと目を覚ました露子つゆこは、あまりの寒さに身震いして上掛けを引っ張った。春はあけぼの。とはいえ、弥生の朝は本日雨模様で、空気は湿っている。  しとしとという音を聞きながら、溜息をつく。雨なんて嫌いだ。 「う~…...
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