タイムスリップ

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ライト文芸

業火を刻めよ(10)

<<プロローグから読む! <9話  一、二、三。  視界を閉ざした状態で、念じる。跳びたい時間と、場所を思い浮かべる。  二〇一八年二月一日、時刻は午後三時。場所は、東京都足立区の、龍神之業の本拠地近く。  時間については正確に跳ぶことがで...
ライト文芸

業火を刻めよ(9)

<<プロローグから読む! <8話  出勤すると、エリーはすでに医務室にいる。いつも通りの黒ずくめのファッションの上に、白衣を羽織った姿だ。ヒカルは彼が、モノトーン以外を纏っているところを想像できない。 「っす」  小さく会釈したヒカルに、エ...
ライト文芸

業火を刻めよ(8)

<<プロローグから読む! <7話  翌日、早朝。  最低限の身の回りの物だけ詰め込んだリュックと、携帯端末を前にして、ヒカルは黙っていた。  携帯、といっても発信専用のようなものであり、電話着信はおろか、メッセージの着信すら、宣伝の類しか来...
ライト文芸

業火を刻めよ(7)

<<プロローグから読む! <6話  医務室へ戻ると、ヒカルは自分用に用意された机に突っ伏した。 「マジでか……俺、もうちょい先になると思ってたわ」  少なくとも一ヶ月は、エリーについてみっちり研修を受けてからの初出動だと信じていた。 「なぁ...
ライト文芸

業火を刻めよ(6)

<<プロローグから読む! <5話 正史課に置かれたデスクのうちの一つを、ヒカルは割り当てられている。荷物置き場としてしか利用していなかった。  出勤して荷物を放り投げると、ヒカルは急ぎ、医務室へと向かう。  極度の方向音痴であるヒカルだった...
ライト文芸

業火を刻めよ(5)

<<プロローグから読む! <4話  ヒカルが警察官となって、一週間が経った。 (行きたくねぇ)  毎日そう思うのだが、その瞬間、「嫌ならやめてもいいんだぞ」と、性格の悪い男の笑みが脳裏に浮かぶ。なにクソ、とヒカルの反骨精神は奮い立たされ、結...
ライト文芸

業火を刻めよ(4)

<<プロローグから読む! <3話 「そうだ」  腕を出せと言われ、ヒカルは素直に出す。手際よくゴムバンドで二の腕を締め上げると、エリーは血管の位置をちらっと確認した程度で、刺すぞという予告もなく、注射器を遠慮なく突き刺した。 「いてぇ!」 ...
ホラー

のしかかる時の十字架

男の怒鳴り声はいつも、秋生あきおの心を容赦なく殴りつけ、急速に冷やしていく。例え対象が自分ではなかったとしても、敏感すぎるきらいのある秋生は、自分のこととして受け止めてしまう。  横目で見ると、皿を割ってしまった新人の女子大生が、店長から厳...
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