ファンタジー

スポンサーリンク
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(11)

<<はじめから読む!<10話 烏が振り返り、振り返りしつつ立ち去った後で、雨子がぽつりと言った。「……流行り病の季節ですわね」「うん」 水無月みなづきに入り、暑さは増している。蒸した空気はどこへ行っても逃れられるものではなく、健康そのものの...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(10)

<<はじめから読む!<9話 露子が俊尚に嫁ぎ、一月が経った。相変わらず夫である俊尚は多忙なようだ。夫婦の会話というものは皆無であり、露子を気遣った雨子は、弟に宮中での俊尚の様子や評判を調べさせた。 すると、父親から聞いていたのとは真逆の俊尚...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(9)

<<はじめから読む!<8話 烏がいなくなってから、手元に残された花橘を見つめ、露子は溜息をついた。雨子も神妙な顔をして、「どういう意味なんでしょうね……」と言う。 二人の頭にあるのは、橘の花を詠んだ、とある歌だった。貴族で知らない者はいない...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(8)

<<はじめから読む!<7話 翌朝目覚めた露子は、女房たちから質問攻めにされた。 旦那様はどのようなお姿? お優しかったですか? 逞しいお身体で、あちらの方もお強いのですか? すべての質問が煩わしく、しかも答えられない問いばかりだったので、露...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(7)

<<はじめから読む!<6話 その晩。白い寝間着に着替えた露子は、固唾を飲んで寝所で夫となる……いや、夫である男を待っていた。夕餉ゆうげ時にも彼は姿を現さず、食事の支度をしてくれた女に尋ねるが、彼女は何も言わずに首を傾げていた。 半日も俊尚の...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(6)

<<はじめから読む!<5話 様々な儀式をすっ飛ばして、皐月さつきの中頃に、露子は源俊尚の持つ邸宅へと移った。雨子を始めとした数人の女房たちと共に、新しい衣と、亡き母が遺した数少ない調度品を牛車に詰めて、嫁入りをした。 通い婚でも一向に構いは...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(5)

<<はじめから読む!<4話 そこから先はまさしく怒涛の二月だった。たくさんの嫁入り道具を、限られた人数の使用人たちは用意しなければならなかった。特に女房たちは、自分の家の姫が先方で馬鹿にされてはならない、と新しい衣を縫い上げていた。「私も手...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(4)

<<はじめから読む!<3話 十七の、しかも美人とはいえない露子を妻にと望んだ物好きは、なんと今上帝きんじょうていの兄君だという。幼い頃に父である先帝から源みなもと姓を下賜され、臣籍へと降下したのだ。「三十歳? おじさんじゃない! 後妻として...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(3)

<<はじめから読む!<2話 しかし結局、露子が入内することはなかった。そして三年経った今もまだ、独り身だ。雨子はさめざめと泣きながら、「わ、わたくしがぁ、あんなときに声をかけなければぁ、今頃姫様はぁ……!」 と後悔の弁を述べる。 美人の条件...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(2)

<<はじめから読む!<1話 帝への入内の話が出たのは三年前、まだぎりぎり露子が適齢期だったときだ。大貴族の邸宅が並ぶ一角から外れた露子の家に、帝からの使者がやってきた。 応対した父が、露子の名前を呼びながら、渡殿わたどのをどたばたと走って東...
スポンサーリンク