ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【30】 <<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【29】 引き返してきた僕のことを、糸子はちらりと見上げた。いつもと違う。そう思ったのは、彼女がずっとこちらを見据えているからだ。普段はすぐに目を逸らすのに。 微笑みを絶やさない彼女は、人... 2023.10.18 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説
ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【29】 <<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【28】 大輔と渚は、ずいぶん先に行ってしまっていた。慌てて追いかけていく。 方角を誤らないのは、大輔の「なーぎさー」という、なんとも情けない悲鳴のおかげだった。彼の馬鹿でかい声に感謝した... 2023.10.16 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説
ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【28】 <<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【27】 いつだってこの入り口に立つときは緊張するのだが、今日はひとしおだった。なにせ、ひとりじゃない。 僕の隣でワクワクを隠せていない大輔を見上げて、こっそりと息をつく。 コロッケ一個... 2023.10.15 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説
ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【27】 <<<はじめから読む! <<3話のはじめから <【26】 荷物を発送して、さらに気温が上がった昼下がりの道を歩く。 足取りが重いのは、暑さのせいだけじゃない。 家に帰りたくない。母親と再び顔を合わせるのが怖い。またいつもの、陰気な顔を... 2023.10.13 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説
ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【26】 <<<はじめから読む! <【25】 土曜日の昼下がり、僕は自室でぼんやりと過ごしていた。宿題なんてすぐに終わってしまって、ベッドに寝転んでいた。 暇な時間は久しぶりだった。何をして過ごしていたのかと考えれば、胸が痛む。美空と会うために病... 2023.10.12 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説
ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【25】 <<はじめから読む! <【24】 第三話 黒い糸 七月も半ばになり、あと十日ほどで終業式。梅雨がようやく明け、まぶしい太陽にさらされる季節だが、僕の心には、まだどんよりと重い雲がのしかかったままだ。 帰りのホームルームが終わり、掃除当番... 2023.10.11 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説
ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【24】 <<<はじめから読む! <<2話のはじめから <【23】 美空の真意はいったいなんだったのか。答えはすぐにわかった。 一命をとりとめたものの、美希は目を覚まさなかった。事故のときに頭を強く打ったそうだ。 脳死、という判定が下された。学... 2023.09.29 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説
ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【23】 <<<はじめから読む! <<2話のはじめから <【22】 購入した赤い糸を少し拝借して、糸子から受け取った五円玉の穴に通した。なんとなく、御利益がありそうだと思ったからだ。 それを美空に手渡すと、嬉しそうに微笑んで、「ありがとう」と言っ... 2023.09.28 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説
ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【22】 <<<はじめから読む! <<2話のはじめから <【21】 梅雨明けはまだ遠く、今日もどんよりと曇っている。だが、僕の心はすっきりと晴れて青空だ。 こんな気持ちで糸屋に行くのは初めてだった。だいたいいつも、カリカリと警戒していることが多い... 2023.09.26 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説
ごえんのお返しでございます ごえんのお返しでございます【21】 <<<はじめから読む! <<2話のはじめから <【20】 その日は、美空の体調が悪くて会えなかった。母親が来ていて、「ごめんね」と言ったが、謝ってもらうような話でもない。お大事に、で帰って、それから三日後、再び僕は彼女のもとを訪れた。 ... 2023.09.25 ごえんのお返しでございますライト文芸長編小説