青春

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ライト文芸

歌ってマスール(5)

<<はじめから読む!<(4)「ねぇ、ちょっとは手伝ってくれてもよくない!?」 大声に、望美は内心で、「またか」と呆れた。かといって、立場上、放っておくわけにはいかない。本格的な喧嘩に発展する前に、騒ぎの中心人物に近づいた。「どうしたの」「ち...
ライト文芸

歌ってマスール(4)

<<はじめから読む!<(3)「ありがとうございましたー」 十八時が近づいてくると、そわそわする。 退勤時間直前に、おかしな客に当たりませんように。 願いながら、ホットスナックの補充をする。 この時間帯は、部活終わりの学生や塾通いの小学生など...
ライト文芸

歌ってマスール(3)

<<はじめから読む!<(2)『九九年七の月に、人類は滅亡するってみんなが言ってたのよ。なのに滅亡しなかったんだもの。参るわぁ』 小学校に上がったとき、母は望美に聞かせるように、独り言を言った。 最初、自分に話しかけられていると思わなかった。...
ライト文芸

歌ってマスール(2)

<<はじめから読む!「いらっしゃいませー」 自動ドアが開くタイミングは、メロディが教えてくれる。それに合わせて挨拶をする。ちら、と窺って、それが同じ学校の生徒ではないことを確認した。 アルバイトは原則禁止だ。原則ということは例外もあるわけで...
ライト文芸

歌ってマスール(1)

八月半ばの体育館は、いくら北海道とはいえ、暑苦しい。 休暇中はTシャツにショートパンツ、風通しのいい格好だったから、余計に。下着だって、パット付きのタンクトップ一枚で過ごしていたから、ワイヤーの入ったブラジャーが窮屈で仕方がない。 乳房の下...
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不幸なフーコ(36)

<<はじめから読む!<35話「おい。野乃花。遅刻するぞ」「遅刻するのは哲宏だけでしょ。私は余裕だもん」 自転車での道のりは、哲宏の学校の方が遠い。私はすでにショートカットルートを開拓しているのだ。もう少し遅くに出ても平気である。 春になり、...
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不幸なフーコ(35)

<<はじめから読む!<34話 冬休み中に謝らなければならない人は、もうひとりいる。 青い顔をしていた私に、「ついていこうか?」と、哲宏が申し出たが、断った。私が向き合わなければならない問題だ。これ以上、哲宏を煩わせるわけにはいかない。 待ち...
ライト文芸

不幸なフーコ(34)

<<はじめから読む!<33話 思い立ったが吉日、私は風子の家に向かった。彼女の祖父母にどう思われているかわからなかったので、呼び出しは哲宏にしてもらった。「天木、今は出かけてるって」 今日は朝から冷え込んでいて、空もどんよりと曇っている。雪...
ライト文芸

不幸なフーコ(33)

<<はじめから読む!<32話 次の日から、少しずつ私は、普通の生活リズムを取り戻していった。 朝起きて、昼に活動し、夜に眠る。その繰り返しは、どんな手段よりも、私の心と身体を正常な状態へと近づけていく。 朝食の席に姿を現した私を見て、綾斗は...
ライト文芸

不幸なフーコ(32)

<<はじめから読む!<31話 学校を休む理由のレパートリーって、実はほとんどない。お腹が痛いとか、頭が痛いとか。 熱のあるなしは、体温計で測ればすぐに数値化されてバレてしまうが、痛みや気分は自分の感じ方の問題だから、誰も強く言えない。 母親...
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