ライト文芸

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ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【10】

<<はじめから読む! <【9】  聡子は逮捕され、篤久も、学校と警察の両方から事情を聞かれた。  刃傷沙汰を起こした聡子はもちろん悪いが、それを誘発したのは、篤久の複数人相手の異性交遊であることは、明らかだった。  生徒同士の事件に発展して...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【9】

<<はじめから読む! <【8】  五月の最終日。もうほとんど夏ではないか、という気温の中、僕は遅刻していた。  寝坊ではなく、腹痛でしばらくトイレから出られなかったという正当な理由だから、のんびりと歩いている。すでに担任には連絡済みだった。...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【8】

<<はじめから読む! <【7】  刺したり刺されたり、殺したり殺されたりする覚悟があれば、ハーレムはつくることができるらしい。  本当だろうか?  考えてみれば、ハーレムや後宮は、権力者のための施設だ。イスラーム帝国のスルタンしかり、日本や...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【7】

<<はじめから読む! <【6】  翌日、学校に現れた篤久は、ある意味クラスの話題をかっさらっていた。 「おはよう」  にこやかに挨拶をしているが、両手の指、全十本に包帯が巻かれていて、とてもじゃないが正気とは思えない。周りが心配するものの、...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【6】

<<はじめから読む! <【5】  糸屋に行ってから、一週間が経った。  放課後、僕の近くに寄ってきた篤久は、頭がお花畑状態らしい。ふわふわと夢見心地の目がとろんとしていて、言葉を選ばずに言うと、気持ち悪かった。  だが、どれほど気味が悪くて...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【5】

<<はじめから読む! <【4】  縁結びのおまじないをした翌日から、都合よく美希と仲良くなれるなんて、そんなうまい話はなかった。  チャイムが鳴るまで、篤久は僕の席で喋っていた。運動部しか使わない、馬鹿みたいに大きなエナメルバッグを邪魔にな...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【4】

<<はじめから読む! <【3】 「おはよう」  約束をしているわけではないが、部活をやめた篤久とは、登校時間もよくかぶるため、一緒に学校へ行く日も多い。開店準備中の店前を、他愛のない話をしながら抜けていく。糸屋の前は、あえて素通りした。 「...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【3】

<<はじめから読む! <【2】 「ただいま」  商店街を抜けたところで、篤久とは左右に分かれた。あの不思議な店以外に寄り道はしなかったから、まだ日は高い。  僕の帰宅の報に、返事はなかった。再放送の刑事ドラマだろう音は聞こえるから、母は在宅...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【2】

<<はじめから読む!  糸屋って知ってるか?  駅までの道のりをゆっくりと歩きながら、篤久の話を聞いた。 「糸屋?」  どんな店なのか想像ができなかった。篤久のことだから、大盛りサービスの充実したラーメン屋か。  いいや、それなら美希は無関...
ごえんのお返しでございます

ごえんのお返しでございます【1】

十二月を師走というが、「師」を「教師」に限定すれば、四月も同じくらい慌ただしいものだと、端から見ていて思う。  一年でやらなければならないカリキュラムは決まっていて、それなのに、健康診断やら歓迎会やらで、授業時間は限られる。五月末の中間テス...
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