ライト文芸

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業火を刻めよ(8)

<<プロローグから読む! <7話  翌日、早朝。  最低限の身の回りの物だけ詰め込んだリュックと、携帯端末を前にして、ヒカルは黙っていた。  携帯、といっても発信専用のようなものであり、電話着信はおろか、メッセージの着信すら、宣伝の類しか来...
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業火を刻めよ(7)

<<プロローグから読む! <6話  医務室へ戻ると、ヒカルは自分用に用意された机に突っ伏した。 「マジでか……俺、もうちょい先になると思ってたわ」  少なくとも一ヶ月は、エリーについてみっちり研修を受けてからの初出動だと信じていた。 「なぁ...
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業火を刻めよ(6)

<<プロローグから読む! <5話 正史課に置かれたデスクのうちの一つを、ヒカルは割り当てられている。荷物置き場としてしか利用していなかった。  出勤して荷物を放り投げると、ヒカルは急ぎ、医務室へと向かう。  極度の方向音痴であるヒカルだった...
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業火を刻めよ(5)

<<プロローグから読む! <4話  ヒカルが警察官となって、一週間が経った。 (行きたくねぇ)  毎日そう思うのだが、その瞬間、「嫌ならやめてもいいんだぞ」と、性格の悪い男の笑みが脳裏に浮かぶ。なにクソ、とヒカルの反骨精神は奮い立たされ、結...
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業火を刻めよ(4)

<<プロローグから読む! <3話 「そうだ」  腕を出せと言われ、ヒカルは素直に出す。手際よくゴムバンドで二の腕を締め上げると、エリーは血管の位置をちらっと確認した程度で、刺すぞという予告もなく、注射器を遠慮なく突き刺した。 「いてぇ!」 ...
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業火を刻めよ(3)

<<プロローグから読む! <2話  部長室に入るときと、同じくらい緊張で心臓が痛いほどだった。  医務室。この扉の奥に、悩殺ナイスバディのエリーがいる。マゾっ気はないはずだが、ヒカルはすでに、妄想の中のエリーに何度も罵倒されて遊ばれていた。...
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業火を刻めよ(2)

<<プロローグから読む! <1話 「医務室へ行きなさい」「医務室……ですか」  体調は万全だから、現状、用のない部屋だ。もしかして健康診断だろうか、と口にすると、園田は笑った。 「まぁ、それもある。が、そこに君の仕事のパートナーがいる」  ...
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業火を刻めよ(1)

<<プロローグから読む! 「……あ、母さん。俺、ヒカルだけど。今日から、俺も警察官として一人前になるからさ……えっと……うん、また連絡するわ」  通話を切って、ヒカルはほっと息を吐きだした。  母が電話に出なくてよかった。直接言葉を交わすと...
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業火を刻めよ(プロローグ)

瞼が自然に降りていく。疲労は蓄積しているが、眠気はほとんどないにも関わらず。  ヒカルが何度、目を開けようと試みても、びくとも動かなかった。体験したことはないが、きっと、催眠術にかけられたときは、こんな感じなのだろうと思った。  意識ははっ...
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