短編小説

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短編小説

きらきら星のばんそう者

黒板の前で発言をするのは、優等生と相場が決まっている。一度も染めたことがないだろう黒髪を、きっちりと二つに結んだ副委員長を従えて、学級委員の眼鏡の少年が、か細い声を精一杯張り上げている。  私は不自然にならないように、辺りを窺った。こういう...
ホラー

のしかかる時の十字架

男の怒鳴り声はいつも、秋生あきおの心を容赦なく殴りつけ、急速に冷やしていく。例え対象が自分ではなかったとしても、敏感すぎるきらいのある秋生は、自分のこととして受け止めてしまう。  横目で見ると、皿を割ってしまった新人の女子大生が、店長から厳...
BL

夢の尾ひれはもう掴めない

ゆらゆらと揺れる水面も、自分の在学中には外にあったプールが今や屋内に作られていることで、日の当たり方が違うような気がした。窓ガラスと水、二つの物質を通過した光は果たして、自分が屋外で浴びる光と同じだと言えるのだろうか。  尤も学生時代に一番...
短編小説

桜待人

四月になってカレンダーは桜の花の写真に切り替わったが、実物を目にするまでにはあと一か月弱。それでも私は、今日から通うこの市立高校の桜並木に満足していた。  野暮ったいセーラー服――タイも紺色で、黒のラインが入っている重い色合いの――に袖を通...
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