短編小説

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ホラー

蒐集家(コレクター)

 それは、一人の女だった。私は棒立ちになり、一歩も動けないまま息を呑み、見つめていた。  彼女は豊満な肉体のすべてを露わにしていた。一糸纏わぬ女など、私は人生の中で母以外に見たことはなかったし、それすら幼い頃の記憶を掘り起こ...
ホラー

前へならえ

 運動部の新入生なんて、だいたい先輩面をしたい二年生から、体よく使われるに相場が決まっている。  どうでもいい自慢話を「さすがっすね」と持ち上げなければならない。あるいは、ストレス解消の的にされたりする。  特に、レギ...
ホラー

雨宿り

 ギギ……チリン。  あら、いらっしゃい。初めてのお客さんね。  こんな天気だから、お客さんも来ないし、もう閉めちゃおうと思っていたの。ああ、大丈夫! 追い出したりしないわ。  迷惑なんかじゃない。来てくれて嬉し...
短編小説

ひと月遅れのアドベント

 黒板の横にかけられた日めくりカレンダーも、だいぶ薄くなった。日直でもないのに、今月になってから、毎朝毎朝破り捨てた甲斐があるというもの。  明日から十二月。誰もが心躍る、あのシーズンの到来。 「あ、おはよう!」 「はよ...
短編小説

アイのはなし

 ジャングルジムにのぼると、木の枝が近かった。おそらくは桜だろう。東京よりも暖かいこの地域では、三月中にすべて散って、すでに若葉がぴょこぴょこと顔を出している。柔らかそうなそれに手を伸ばそうと身を乗り出すほど、ぼくは子どもじゃない...
短編小説

JCの半分は妄想でできている

 中学生になって、初めての授業参観日だった。来なくていいよ。朝出かけるときに、寝ぼけ眼のおいちゃんにはそう言ったけれど、来てくれたのは嬉しかった。ママは仕事が忙しくて、なかなか来られなかったから。  たとえ襟のゆるいTシャツにジーパ...
短編小説

映えない友達

『のぞみ。しばらくおばあちゃんちで暮らしてみない?』  そうママが言ったとき、てっきり父方の祖父母の家だと思った。鎌倉といえば和の街。渋谷原宿を根城にしている私とは、一見ミスマッチ。でもだからこそ、映える写真がたくさん撮れそうだ。 ...
短編小説

梅雨に彩花

 大きく武骨な手から、丁寧な文字――読みやすい、とは言わない。癖はない。だが、ちまちました文字は、老眼鏡にクラスチェンジしたと噂の担任には、読みにくいに違いない――が生まれるのは、興味深い。  この年になってやることはないけ...
BL

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短編小説

海を泳ぐ月

 廊下側の後ろから二番目の席は、ほぼ対角線上にある、窓際の一番前にいる彼を観察しやすくて、私のお気に入りの席だ。 「森もりー。森海かいー。ここの訳」  その後三回、先生は彼の名前を呼んだ。ようやく自分があてられているこ...
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