ライト文芸 星読人とあらがう姫君(13) <<はじめから読む! <12話 姫様、大変ですぅ! と、普段露子にとかくおしとやかにしろと言ってくる雨子が、どたばたと戻って来た。 東の対からは確かに通行らしい壮年の男の声が聞こえてきた。相も変わらず俊尚は喋らなかったようだが、その点は... 2020.08.12 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(12) <<はじめから読む! <11話 烏の言葉どおり、俊尚の来訪は絶えた。 「それにしても本当に、烏も何も言ってこないとは!」 雨子は怒り狂っているが、露子は落ち着いていた。ただ、あの夏の夢を毎日見て、理由もわからぬまま、顔を知らぬ少年に謝罪... 2020.08.12 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(11) <<はじめから読む! <10話 烏が振り返り、振り返りしつつ立ち去った後で、雨子がぽつりと言った。 「……流行り病の季節ですわね」 「うん」 水無月みなづきに入り、暑さは増している。蒸した空気はどこへ行っても逃れられるものではなく、健康... 2020.08.11 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(10) <<はじめから読む! <9話 露子が俊尚に嫁ぎ、一月が経った。相変わらず夫である俊尚は多忙なようだ。夫婦の会話というものは皆無であり、露子を気遣った雨子は、弟に宮中での俊尚の様子や評判を調べさせた。 すると、父親から聞いていたのとは真逆... 2020.08.11 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(9) <<はじめから読む! <8話 烏がいなくなってから、手元に残された花橘を見つめ、露子は溜息をついた。雨子も神妙な顔をして、「どういう意味なんでしょうね……」と言う。 二人の頭にあるのは、橘の花を詠んだ、とある歌だった。貴族で知らない者は... 2020.08.11 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(8) <<はじめから読む! <7話 翌朝目覚めた露子は、女房たちから質問攻めにされた。 旦那様はどのようなお姿? お優しかったですか? 逞しいお身体で、あちらの方もお強いのですか? すべての質問が煩わしく、しかも答えられない問いばかりだった... 2020.08.10 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(7) <<はじめから読む! <6話 その晩。白い寝間着に着替えた露子は、固唾を飲んで寝所で夫となる……いや、夫である男を待っていた。夕餉ゆうげ時にも彼は姿を現さず、食事の支度をしてくれた女に尋ねるが、彼女は何も言わずに首を傾げていた。 半日も... 2020.08.10 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(6) <<はじめから読む! <5話 様々な儀式をすっ飛ばして、皐月さつきの中頃に、露子は源俊尚の持つ邸宅へと移った。雨子を始めとした数人の女房たちと共に、新しい衣と、亡き母が遺した数少ない調度品を牛車に詰めて、嫁入りをした。 通い婚でも一向に... 2020.08.10 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(5) <<はじめから読む! <4話 そこから先はまさしく怒涛の二月だった。たくさんの嫁入り道具を、限られた人数の使用人たちは用意しなければならなかった。特に女房たちは、自分の家の姫が先方で馬鹿にされてはならない、と新しい衣を縫い上げていた。 「... 2020.08.09 ライト文芸星読人とあらがう姫君長編小説
ライト文芸 星読人とあらがう姫君(4) <<はじめから読む! <3話 十七の、しかも美人とはいえない露子を妻にと望んだ物好きは、なんと今上帝きんじょうていの兄君だという。幼い頃に父である先帝から源みなもと姓を下賜され、臣籍へと降下したのだ。 「三十歳? おじさんじゃない! 後妻... 2020.08.09 ライト文芸星読人とあらがう姫君