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ライト文芸

星読人とあらがう姫君(23)

<<はじめから読む! <22話  喉が自由になって、露子は咳き込んだ。あまりにも急なことだったので、涙が滲むほど咳き込み、忙しなく呼吸をする。  ようやく明瞭になった視界に映ったのは、巨大な化け物だった。尾が三つに分かれていて、毛皮は淡く金...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(22)

<<はじめから読む! <21話  重苦しい空気を打ち破ったのは、桜花がぱん、と一度手を打つ音だった。 「ひとまずこれで、終わりにしましょう? お姉様からいただいた乾菓子もありますし、何かお飲みになりませんか?」  女房を呼び出し、てきぱきと...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(21)

<<はじめから読む! <20話  結局呪われたというのは帝の狂言だった。問題はなぜ、そんなことをしたのかということだ。  桜花の隣に露子は座らされて、帝はその向かい側にいる。後宮では女が強い。へこへこしている帝なんて、朝廷にいる男たちは、見...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(20)

<<はじめから読む! <19話  実家に雨子を置いて出てきたのは、いざというときに自分の身代わりにするためだった。背格好は似ているので、具合が悪いと布団に入っていればどうにかなるだろう。夜遅くになっても帰ってきていない、と騒ぎになることは避...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(19)

<<はじめから読む! <18話  弘徽殿こきでんに露子はやってきた。女御に仕える女房たちの装束は、露子の着ているものよりも上等で、一張羅を着てきたにも関わらず、なんとなく露子はみすぼらしい気分になり自分の身体を見下ろした。  粗相のないよう...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(18)

<<はじめから読む! <17話  暦の上では秋になったが、まだまだ残暑は厳しい。季節に合わせた単に、裳を合わせて露子はまず、俊尚の元を訪れた。  三つ指をついて礼をし、しばしの暇を請う。 「父が夏の暑さにやられ、先日倒れたとのことですので、...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(17)

<<はじめから読む! <16話  やるべきだと思ったことをやる。そう決めた露子の行動は早かった。すっくと立ちあがり、自室を出ていく。 「露子様!?」  雨子の悲鳴を背中に聞いて、ずかずかと淑女らしからぬ足取りで渡殿を歩いていき、辿りついたの...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(16)

<<はじめから読む! <15話  あの少年だ。露子ははっとする。うすぼんやりと彼の顔を思い浮かべる。不思議な色の、目をしていた。母の持っていた宝玉によく似た色の。  少年は、年の頃は十歳前後。まだ元服もしていなかった。見つけた、と夢の中の声...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(15)

<<はじめから読む! <14話  もしも母に水を飲ませることができていたのなら、母の命の火は、再び燃えることがあったのだろうか。  成長し、大人になった露子はその問いに、否と答えることができる。  薬草も何も入っていないただの水に、そんな力...
ライト文芸

星読人とあらがう姫君(14)

<<はじめから読む! <13話  外を歩けば熱波が襲ってくる夏だった。三つの露子が初めて経験する暑さだった。熱気によってまず、食欲がなくなる。そうすると体力も落ちる。母が倒れたのは、十日ほど前だった。  最初のうちは寝ていれば治る、と言い張...
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