先日、オリジナルでは二作目となるオメガバースもの『平行線上のアルファ~迷子のオメガは運命を掴む~』の更新を終えました。
stand.fmでの音声配信でも語りましたが、更新中にさらっと読み返してみて、「デビューのためにはここが足りないのでは?」と思ったことを、次の執筆に向けて備忘録的に書きつけておきたいと思います。
※なお、この気づきに関しては、私個人の思いつきです。正しいかどうかはわかりませんし、偏った思考(嗜好?)のもとに書いていますので、参考にしたところで人気が出るかどうかはわかりません!
アルファ×オメガ、運命の番であること
プロとしてデビュー、あわよくばコンスタントに作品を発表することのできる人気作家になりたい!
という私ですが、いまだそこには至っておりません。
自身の筆力もそうですが、まだまだ読者の萌えに寄り添ったものが書けていないというのが一番の原因です。
では、BL小説の中でも、オメガバースものを進んで買う読者が求めているものは、いったい何なんでしょうか。
オメガバースは絶対的な雄であるアルファと絶対的な雌であるオメガという特別な性別が存在する宇宙のことです。
我々と同じ、通常の生殖しか行えない性別をベータといいます。
さて、ベータ男性同士の恋愛を読みたいと思う人はどのくらいの割合でいるのでしょうか?
私はひねくれ者の自覚があるので、ちょっと読んでみたいし、書いてみたいと思ってしまいます。
もともと、ベータ絡みの話が好きなんですよね。
アルファ×ベータも好きだし、ベータ×オメガも好き。
決して運命の番にはなれない悲哀を抱えている彼らが、それでも愛を貫く姿は、運命を乗り越えていく強さを感じられて尊いものに感じられるのです。
だから、第二性別がある世界でベータの男性同士のBLも、それはそれで味があっていいな。
ベータの同性同士のカップルは、あの世界では差別され排除される対象なのかな?
なんてことを考えてしまうのですが、それはあえて、オメガバース設定にしなくても書けるのでは?
と、踏みとどまっている現状です。
読者が求めるのは、「ドラマチックな恋愛」です。
- 運命の番なのにすれ違う二人!
- 攻めにふさわしくないと逃げる受け!
- 再会からの溺愛、そして・・・・・・!
みたいな。
シリアスなオメガバースであれば、求められるのは上記のようなストーリーではないでしょうか。
(ラブコメはまた別の文脈になるかな、と)
そして波瀾万丈に見えるストーリーラインであっても、
- アルファとオメガは絶対に最後に結ばれる
- 運命の番として、ハッピーエンドを迎える
という安心感があることが、大切です。
なのでオメガバースを書くときはまず、アルファ×オメガの基本設定を忠実に守って書く練習をしっかりしましょう。
子どもの存在
通常のBLとオメガバースの一番違うところは、アルファとオメガの間に実子ができる可能性がある、ということです。
昔から、子育てBLは一定の需要がありました。
例えば真船るのあ先生の「ごはんをたべよう」シリーズ。
例えばあさぎり夕先生の「猫かぶりの君」シリーズ。
思い出したふたつのシリーズですが、たまたま両方とも、子どもは攻めの実子でしたね。
実子じゃなくても、「姉の子を預かっている」とか、そういう理由が多かったかな、と思います。
いずれにせよ、子どもと血が繋がっているのは片親のみでした。
ところがオメガバース設定の隆盛によって、二人の実子という可能性が新たに広がったわけです。
派生して、シークレットベビーものがオメガバースBLでは多く見られるようになりました。
これはハーレクインに代表されるロマンス小説に多く見られる設定です。
大富豪や高位貴族の男性と一夜を過ごした女性が、一度の行為で妊娠してしまい、シングルマザーの道を選ぶ。
そして相手の男性と再会して云々・・・・・・
というのが基本路線かと。
アクシデントによってアルファに抱かれてしまったオメガの受けが、身分違いに悩んで身を引く。
そして子どもができていることに気づいて・・・・・・
という話、オメガバースが流行り始めて何度読んだでしょう。
男女恋愛でも人気の設定は、BLでも人気がありますね。
本編では子どもがいなくても、エピローグでは幸せな家庭を築きました~、的なオチがつくことが多いです。
子育てBLを書く自信はない(子どもを可愛く書ける自信がない)のですが、エピローグだけなら私でもいけると思うので、次回はそうしたいです。
こっからはハーレクインをちゃんと知らない人間の戯れ言なので読まなくていいんですが、それでもBLのアルファ攻めとハーレクイン小説のヒーローはちょっと違うのかな、と。
アルファの攻め、子ども見た瞬間に「俺の子だ!」ってすぐ気づくことが多いような気がします。
で、子ども含めて溺愛ルート。
ハーレクイン小説のヒーローは、「他に男がいたのか!?」って誤解することも多いような。
あらすじ読むと、冷遇されるヒロインとか勘違いとかすれ違いとか、そういうの多いですよね。
オメガバースBLはストレスあんまり感じないような設計になっているんでしょうか。
発情期にはエッチをさせろ
一番言いたいのはコレ!
私の書いた『平行線上のアルファ~』で、読み返して一番「いやいやそうじゃねーだろ」と思ったのは、エッチシーンが少ない&遅いということ。
BL小説には官能小説の側面もあります。
エッチシーンがなければ規定外になる公募がほとんどです。
(角川ルビーがカクヨムでの公募を始めるそうですが、カクヨムくん、R18はダメらしいんですけど、エッチシーンどうするんですかね?)
大なり小なり、BL小説を読むのに大事なエッチシーン。
オメガバースの場合、特にオメガの発情期という設定があるので、読者は絶対に、「エッチな受けちゃんが見たい!」という要望があるはず。
前述のシークレットベビーものにあたるオメガバースBLを読むと、だいたい冒頭2~30ページくらいでエッチシーン(例外は多々あり)。
受けの想定外の発情期によるアクシデントで一回エッチ。
そこからいろんな心境の変化もあり、二回目のエッチ。
ここではまだお互いの気持ちを勘違いしていたり、推し量ることができなかったりする。
最後に想いを確かめ合ってのラブラブエッチ。
って感じで、最低でも三回はまぐわっていただかないと、オメガバースの魅力を読者に味わってもらえないのではないか、と思いました。
三回以上となると、ある程度の長さがないと難しいです。
ディアプラスの120枚とかではなかなか難しいので、長編でオメガバースにチャレンジするのが一番かと。
まとめ
というわけで、自戒を籠めて、オメガバースを書くときの注意点を三つあげました。
- ①アルファ×オメガ、なるべく運命の番で
- ②子どもの存在を匂わせつつ
- ③エッチシーンを複数回
という小説が、読者に求められていると予想します。
もちろん、
「いやいや私はベータ絡みのオメガバース読みたいし」
「オメガバース×ブロマンス、ありじゃない?」
という読者もたくさんいるでしょう。
しかし、売れるモノを書くというのがプロ作家のお仕事であるのならば、私はそこに合わせて書く訓練をしなければならないのです。
書きたいものを書く、という基本路線は変わらないのですが、「最大多数の最大萌え」を意識して、バランスを取っていきたいと思います。
コメント