BL オメガに説く幸福論(1) <<はじめから読む! 古来から、他国の貴賓が訪れたときには、舞踏会を開くのがマナーらしい。 エルフの国より書状が届いたときから、オメガの国の王、リッカの母親でもあるミオは、城を挙げて準備を進めさせた。 何せ相手は、あのエルフだ。 この世に生... 2024.10.28 BLオメガに説く幸福論長編小説
オメガに説く幸福論 オメガに説く幸福論 プロローグ 燭台の心許ない灯りが照らす部屋は、薄暗い。 まるで自分の行く末を案じしているみたいじゃないか。リッカはそう思う。 ベッドの横につけた椅子に座り、母と目線を合わせる。彼の顔はげっそりと頬が痩け、青白かった。ウェーブを描き背を落ちる赤い毛は潤い... 2024.10.28 オメガに説く幸福論
短編小説 繋がる円盤 「UFOとか、興味はない?」 肩をツンツンされながら話しかけられた。人違いだと思いたかった。意味がわからずに、たっぷり三十秒は沈黙し、大地だいちは男の顔をまじまじと見つめてしまう。 鑑賞に堪える顔なのが、いっそうっとうしい。ぴかぴか光るおで... 2024.10.22 短編小説青春
ライト文芸 歌ってマスール(23) <<はじめから読む!<(22) 二〇二四年、十二月。 学生時代はそうでもなかったが、社会人になってから、「師走」という言葉に現実味を感じるようになっていた。一年があっという間に過ぎていく。 望美は二十五歳になった。なってしまった。兄が死んだ... 2024.10.20 ライト文芸歌ってマスール長編小説
ライト文芸 歌ってマスール(22) <<はじめから読む!<(21) 二学期の終業式。 ミッションスクール独自の行事として、クリスマスミサが行われる。近くの教会の神父を呼び、クリスチャンの生徒や教師が聖体を拝領する、本格的なものだ。 とはいえ、学校の生徒のほとんどが信仰心など持... 2024.10.19 ライト文芸歌ってマスール長編小説
ライト文芸 歌ってマスール(21) <<はじめから読む!<(20) 生徒が使う部屋と、広さは大差なかった。違うのは物の少なさで、本棚には聖書やカトリックに関する本が並んでいるだけだった。「吉村さん」 立ち上がって出迎えてくれた鏡花は、入室したのが望美だと知ると、ホッとした表情... 2024.10.15 ライト文芸歌ってマスール長編小説
ライト文芸 歌ってマスール(20) <<はじめから読む!<(19) MIRAと鏡花が同一人物であるという疑惑を抱いて以降、望美は鏡花のことを徹底して避けた。菜々を助けるべく、相談して動かなければならないのに、一切言葉を交わしていない。 彼女の方は、何かを話したそうにこちらに近... 2024.10.13 ライト文芸歌ってマスール長編小説
ライト文芸 歌ってマスール(19) <<はじめから読む!<(18) その日以降、菜々は帰ってこなかった。 寮母にも生徒指導の教師にも聞きづらく、望美が彼女の処遇を尋ねたのは、鏡花だった。彼女は自分の味方だ。菜々ともよく話をしていて、仲がいい。 鏡花は菜々がタバコを持っていたこ... 2024.10.12 ライト文芸歌ってマスール長編小説
ライト文芸 歌ってマスール(18) <<はじめから読む!<(17) MIRAの痕跡を追うも、実像が見えてこないまま、十二月半ばになろうとしていた。 期末テストの季節である。 一度取った特待生は、目に余る素行不良や法律に反する行動を行わない限り、たとえ学年順位が下がったところで... 2024.10.08 ライト文芸歌ってマスール長編小説
ライト文芸 歌ってマスール(17) <<はじめから読む!<(16) 帰寮してすぐ、MIRAの捜索を始めた。 彼女は兄が自殺する少し前に、歌い手の活動を休止している。理由については言及がなく、更新が途絶えているSNSには、活動を無期限休止すること、動画は削除しないことを端的に伝... 2024.10.06 ライト文芸歌ってマスール長編小説