スポンサーリンク
ライト文芸

高嶺のガワオタ(12)

<<はじめから読む! <11話  小さな美術館だった。自分で選んでおいてなんだが、飛天は特に芸術に興味があるわけではない。静物画や人物画は、上手い下手くらいの区別はつく。だが、この美術館に飾ってある絵のほとんどは、抽象画だ。  謎の図形がラ...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(11)

<<はじめから読む! <10話  スマホ片手に悩みに悩んだ結果、飛天が初デートの場所に選んだのは、美術館であった。それも、国内外の超大作を公開し、行列するような特別展示中の場所ではない。  個人経営の、自分の家にあったコレクションをひっそり...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(10)

<<はじめから読む! <9話  スマートフォンの中に、新しい連絡先が増えるのは、久しぶりのことだった。  ソファの上で電話帳を眺めていると、自然と唇が緩んできてしまう。 「お兄ちゃん、キモイよ」 「失礼な」  言いながら顔を上げると、水魚が...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(9)

<<はじめから読む! <8話 「ごめん。俺が……いや、俺たちが気づいて止めるべきだったのに、できなかった」 「落ち込まないでください。今日はスタッフさん、いつもより少なかったでしょう? 目が行き届かない部分もあります。それに」  肩を落とし...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(8)

<<はじめから読む! <7話  運転手付きの車に乗せられたことから、薄々わかっていたが、相手はどこかいいところのお嬢様らしい。連れてこられたのは、今の飛天には場違いとしか思えない、ホテルのラウンジだった。  尻の沈み具合だけでわかる、高級な...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(7)

<<はじめから読む! <6話  臨時雇いのピンチヒッターだからか、給料は手渡しだった。汗で蒸れたスーツを脱いで、タンクトップ一枚でいるところに、次郎の上司が現れて、封筒を手渡していった。 「本当に助かりました。これ、そんなに多くはないんだけ...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(6)

<<はじめから読む! <5話  なんだ? と目を凝らせば、どうやら言い合いをしているのは男女だった。服装が釣り合わないので、一緒に来たわけではなさそうだ。  いかにも「オタクでござい」と主張している服の男が一方的に怒鳴り散らし、清楚な花柄の...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(5)

<<はじめから読む! <4話  頭を隠してしまえば、視界はとても狭かった。 「今日はイベントが分散してるから、いつもより少ないと思うよ」  などと次郎は言っていたが、飛天の目に入るのは、人、人、人の群れである。子供たちの歓声を受けて、飛天は...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(4)

<<はじめから読む! <3話  何も知らされないまま迎えた、土曜日の早朝。  飛天はテントの中で、後悔していた。汗をかくから着替えを用意しろ、と言われたので、どんな激しい肉体労働なんだと思っていた。  しかし、蓋を開けてみれば、肉体よりもむ...
ライト文芸

高嶺のガワオタ(3)

<<はじめから読む! <2話  急かされながらも朝食を終えた。結局皿洗いは、妹がやってくれる。  働いているわけでもなく、学校に通っているでもない。なのに、家事すらまともにできない。情けないやら申し訳ないやら、そういった感情を飛天は露にしな...
スポンサーリンク