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ライト文芸

高嶺のガワオタ(22)

<<はじめから読む! <21話  その日の飛天は早起きだった。つい先日までのニート生活が嘘のように、規則正しい生活を送っているものの、さすがに六時に起きたのは、高校生以来のことだ。  すでに起きていた母親がぎょっとして、「ちゃんと眠れたの?...
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高嶺のガワオタ(21)

<<はじめから読む! <20話  すべてのショーが終了して、後片付けも終わり。一部の人間を除いて現地解散のため、飛天は映理と待ち合わせていた。  彼女が指定してきたのは、近くにある喫茶店だ。メジャーなチェーン店ではないあたり、飛天のこれまで...
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高嶺のガワオタ(20)

<<はじめから読む! <19話  デビュー日の天気予報は、晴れ。気温も高くなるようで、スーツを着てアクションをするのは大変そうだが、雨で中止になったり、やれても客がほとんどいなかったりするよりは、全然マシだ。  指折り数えてその日を待ち望ん...
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高嶺のガワオタ(19)

<<はじめから読む! <18話  水曜日の全体練習および裏方の人間も含めたミーティング前に、高岩に背中を叩かれた。 「いっ……でぇぇ」  彼は自分の馬鹿力に自覚がないのか、飛天は毎回、痛みに七転八倒する。背中に手形がべったりとついているんじ...
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高嶺のガワオタ(18)

<<はじめから読む! <17話  週末のどちらかは潰れるし、平日は平日で、映理の方が大学の講義がある。なので、この一か月、ほとんど映理とは直接顔を合わせていない。  ひとつ進歩があったとすれば、電話でのやり取りが増えたことだ。文字に残るトー...
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高嶺のガワオタ(17)

<<はじめから読む! <16話  体力には自信があった。それこそ五年くらい前は、地獄のようなダンスレッスンにも耐えてきたし、先輩たちのバックで笑顔で踊り続けることもできた。  だが、アクションの練習とは違う筋肉を使っているのか、それとも単純...
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高嶺のガワオタ(16)

<<はじめから読む! <15話  ただのニートだった飛天が、毎日外に出るようになった。両親は――特に母は泣いて喜び、妹は「明日は雨?」と言い出す始末だった。 「梅雨入りしたから毎日雨だろ」  ここ最近は、コミュニケーション能力もずいぶん回復...
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高嶺のガワオタ(15)

<<はじめから読む! <14話  飛天が映理を呼び出したのは、それから二週間後のことだった。六月に入り、梅雨前線の北上が毎朝のニュースの話題に上がるようになっていた。  静かにドアが開いた気配を背後で察知したが、飛天は目の前のことに集中する...
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高嶺のガワオタ(14)

<<はじめから読む! <13話  結局飛天は、その日のうちに連絡ができず、週末の予定はなしになった。映理の方から誘ってきてくれても……と思わなくもないが、「あそこに行きたい」と言われても、叶えられない自分に、とことん嫌気がさす。  朝食後も...
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高嶺のガワオタ(13)

<<はじめから読む! <12話  国立西洋美術館だとか、新国立美術館だとか、そういうメジャーな場所を外してのデートには、限界があった。  飛天はスマートフォンを手にしたまま、深い溜息をつく。  個人経営の小さな美術館やギャラリーは、頻繁に展...
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