レビュー記事のタイトルに、作者のお名前を入れることにしました(敬称略)。
エゴサーチのときに引っかかる可能性を高くして、私の活動を少しでも見つけてもらえたらいいな、という作戦です。
『葬送の沼』レビュー
商業のBL小説はほぼすべてハッピーエンドです。
公募の募集要項に「ハッピーエンド推奨」と書かれていることからも、商業出版して採算がとれるのは、ハピエンだということがわかります。
純文学であればバッドエンドもありだと思うのですが、BLはエンタメなので、幸せなラストが約束されてしかるべきです。
マンガはメリバ物もアリになってきているような気がしますが、マンガの波が小説に来るまで数年かかると思うので、これからも主流にならないでしょう。
という前置きから始まる今回のレビューは、こちらになります。
『葬送の沼 (ヤゴノベルズ)』(爺誤)
もうタイトルからにじみ出ていますね。あ、これ絶対メリバBLじゃん……?
※メリバ…メリーバッドエンドの略。バッドエンドにしか見えないけれど、当事者的にはハッピーエンド。心中モノとか、監禁闇落ちENDとか。
故人を沈める沼なので、薄暗い沼を思い浮かべてしまいますが、表紙イラストの沼はとても美しく、だからこそ悲しいラストシーンもまた美しく感じるのかもしれません。
葬送の沼のほとりにたった一人で暮らしている葬送人の少年。
ある日運ばれてきた貴人の遺体は、実は死んでおらず……という話です。
王子である元遺体のジェイに誘拐される形で王都に連れてこられたのに、「ここで解放する」なんて言われて、何の知識も技術もない少年(ビーと名付けられます)が辿る末路なんて、目に見えています。本当にお前は優秀な王子なのか! と憤りを覚えます。
ジェイの目を覗き込む度に、沼のことを思い出して恋しくて泣いてしまうビーが、哀れでなりません。次第にジェイを愛するようになっていきますが、沼へ帰りたいという想いだけは変わらずに持ち続けているのが、健気で愛おしいです。
登場人物の名前がすべてアルファベットで、記号的なのはどんな意図があるのかな、と思いながら読みました。寓話性を高めているのかな……とか。
番外編のラスト、ビーの跡を継いだズィーに、ほんのわずかな希望を感じました。
しんみりメリバBLを楽しみたい方、ぜひ読んでください。
作者の爺誤さんのtwitterはこちら。
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