『ケンブリッジをふたたび離れ』(楢川えりか)

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『ケンブリッジをふたたび離れ』(楢川えりか)

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『ケンブリッジをふたたび離れ』

イギリスの寄宿学校を舞台にした、ほろ苦い青春小説です。

「イギリス? ケンブリッジ? なんだかとっつきにくそう……」という方でも大丈夫。
主人公は日本人の少年ですし、きちんと解説もしてくれます。
よっ、親切!

訳アリで日本にいづらくなってしまった尊は、遠いイギリスの寄宿学校へ転校することに。
英語もよくわからないまま放り出されて泣きそうな尊は、天使のように美しい少年、クリストファーと親しくなります。

何年学校で暮らし続けても、異邦人でしかない尊。
そして「完璧な」英国人であるクリス。
惹かれ、時には衝動のようにキスをしても、クリスは完璧でいなければならない理由があり、堕落するわけにはいかず……。

大人になった尊の思い出話として綴られる物語です。
哲学者の彼らしく、ハッとさせられる文章が何か所もありました。
一般的に「偽善」はよくないことだと考えられています。
尊はクリスの申し出が偽善であると見抜いた上で、安心して受け入れることができた、というのが最初の方にあります。
確かに、純粋な好意だと素直に受け止めることができないことなんて、たくさんあるよなあ。
下心があれば、余計に。

結局彼ら二人が恋人として付き合うことはなかったけれど、尊だけでなく、クリスの側にも強い想いがあったことは、間違いありません。

「僕の世界は神様と君と父さんだけで、それでも僕は生きてきたのに!」

『ケンブリッジをふたたび離れ』本文より

神様の次に「君」が来るんですよね。
聖なる「神」や憧れの立派な英国人たる父の正しい世界と、尊というクリスにとっての悪魔が誘惑する悪の世界。

尊はこの言葉をきっかけに、「選んで」しまいます。
それが彼らの決定的な離別となります。

ビターエンドで胸が苦しくなりますが、私はとても好きです。
クリスのおかげで哲学を志すようになった尊。
彼の学問的信念や探究心はすべて、クリスに端を発するものです。
そういう意味では、クリスは尊の中の「神」に近いものになったのではないかな。
きっと、尊はクリスの「神」と等しいものになりたかったんでしょうけれど。

楢川さんの書く小説の、長いセリフがロマンチックでとても好きです。
あと語学の素養があってすごいなー、と思っています。
(大学でいろいろ講義は取ったものの、一ミリも身に着かなかった私)


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BLとA-1を交互に読んでいく予定でいます。
あ、あんまり長いのないといいなぁ……読み切れなくなっちゃう。

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