平凡受け

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オメガに説く幸福論(9)

<<はじめから読む! <(8)  番う寸前のカップルがちらほらと現れてきたのを見て、リッカはあと少しで自分の役目も終わると、大きく背伸びをした。  問題があるとすれば、シャルル国王の件だ。  やはり王の番となると、アンジュしかいなかった。何...
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オメガに説く幸福論(8)

<<はじめから読む! <(7)  エルフの国の生活は、順調だった。  リッカはエルフ族の面々と顔を合わせた。身分の上下関係なく、彼らのうちアルファ因子を持つ者を記録していった。  いきなり番わせるわけにはいかない。相性のよさ、互いの感情を積...
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オメガに説く幸福論(7)

<<はじめから読む! <(6)  エルフという生き物の優雅さ、美しさとは対照的に、彼らの家は、どこか朴訥としていた。それは王城であっても同様で、森の民ではないリッカも、なぜか懐かしさを感じた。  自然との調和が、エルフの求める最良の生き方な...
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オメガに説く幸福論(6)

<<はじめから読む! <(5)  結局、キルシュとランが正気を取り戻した状態で出てきたのは、三日後であった。  ランの首筋には、何度も執拗に噛んだ傷痕が残っていた。食事の差し入れやらなんやらで、何かと目をかけていたアンジュが「おめでとう」と...
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オメガに説く幸福論(5)

<<はじめから読む! <(4)  二週間の旅路のうち、半分ほどまでは何事もなく過ぎていった。  周期に当たっていなくても、環境の変化によって発情期がずれる可能性がある。リッカも含め、エルフの国に向かうオメガは全員、抑制剤を一日一回、服用して...
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オメガに説く幸福論(4)

<<はじめから読む! <(3)  旅の支度はすぐに終わった。基本的に、大きな荷物は必要ない。行ったら行きっぱなしの旅だ。  相性の合うアルファ候補がいなければ、ともに行く少年たちは帰ってくることもあろう。あるいは番となっても、エルフの国にな...
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オメガに説く幸福論(3)

<<はじめから読む! <(2) 「失礼します」  エルフの一団は、基本的には都の高級宿に宿泊している。例外はエドアールで、王族の彼だけは、王宮の客間に泊まっていた。  用意していた小さな会議室には、今回派遣されてきた騎士団の団長であるエドア...
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オメガに説く幸福論(2)

<<はじめから読む! <(1)  エルフの国へ行くのは、リッカの他に七人の年若い、番のいないオメガたちと決まった。  十四から十六の、妊娠・出産に適した年齢の少年たちには、リッカが直接告げに行った。  家族で暮らしている者もいれば、国の援助...
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オメガに説く幸福論(1)

<<はじめから読む!  古来から、他国の貴賓が訪れたときには、舞踏会を開くのがマナーらしい。  エルフの国より書状が届いたときから、オメガの国の王、リッカの母親でもあるミオは、城を挙げて準備を進めさせた。  何せ相手は、あのエルフだ。  こ...
オメガに説く幸福論

オメガに説く幸福論 プロローグ

燭台の心許ない灯りが照らす部屋は、薄暗い。  まるで自分の行く末を案じしているみたいじゃないか。リッカはそう思う。  ベッドの横につけた椅子に座り、母と目線を合わせる。彼の顔はげっそりと頬が痩け、青白かった。ウェーブを描き背を落ちる赤い毛は...
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