年下Domの溺愛コマンド(村崎樹)

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レビュー

ようやく先月末に買ったBL全部読んだ! 長かった!

「年下Domの溺愛コマンド」(村崎樹)

↑Amazonに飛びます。

村崎樹先生の二作目は、和風ファンタジー×シリアスだったデビュー作とは正反対の、現代モノ×ラブコメです。

↑デビュー作のレビューはこちら!

そして個人的には、Dom/Subユニバース初体験でした。
「Dom/Subって何よ??」っていう方は僕と握手。
だいたいこういう特殊設定って、二次創作で広まり、それから商業BL漫画→商業BL小説・・・・・・と移っていくもの。
オメガバースのときは走りの頃(2013年くらい)に二次創作しまくっていたので、そこで概念を知り、自分でも二作ほど書いたことがありますが、Dom/Subは二次の界隈を離れてから流行したものなので、名前は聞いたことはあるものの・・・・・・でした。

(ここまで読んでいてDom/Subとはなんぞ? と思った方は、pixiv百科事典を読むといいと思う!)

そんな初心者にも優しいDom/Subの入門書的な小説です。
後書きで「とっつきやすいDom/Sub」を目指したと書いてましたが、まさしくそれ。

ある日突然、NeutralからSubに変異してしまった初輝が主人公。
知識としては知っているけれど、実情には臆してしまう。
ということで、初輝と一緒にDomとSubの奥深い世界をのぞき見する感じで話が進んでいくので、「なるほどな~」とか、自分でDom/Sub書くならどんな話がいいかな、と思ったり。
オメガバースもそうだけど、基本の設定があって、そこにどんな肉付けをしていくかが作家さんの色だし、書き手としても面白い部分。
いろんな作品が増えることで、また新しい流行りが生まれるんじゃないかな。
ということで、Dom/Sub入門書としての役割はきっちりと果たされています。

なんとなくDom/Subイコール肉体的苦痛を伴うSMだと思いきや、意外と精神面が重要な側面を持っています。
攻めの和臣は、仕事中はとっつきにくい無愛想ですが、プレイの最中はでろでろに甘やかしてくれるタイプ。
命令を聞くこと自体もだけど、その後褒められることで深い充足感を得る初輝とは、相性バッチリ。
和臣が「えらい」と言う度に、読み手の私もにっこにこ。

次期社長になることが決まっていて、愛想はないけど仕事ができる男である和臣。
でも実は、不器用なところがあって、陰でめちゃくちゃ努力するタイプ。人前では絶対にそういうところを見せたことがなかった彼が、初輝の前ではかっこ悪い姿も見せられるのがいい。
もしかして和臣は、自分自身も「えらい」と認められたくて(あるいは学生時代に初輝に自分自身を認めてもらえたことが嬉しくて)、言っているのかな。
なんて妄想をしたりして。

初輝にしても和臣にしても、自分自身の本当の美点には気づいていません。
和臣は役職云々ルックス云々以上に、努力したり常に改善していこうとする姿勢が格好良い。
初輝は平凡で特技がないと自称するけれど、穏やかで人をよく見ていて、部下から慕われる彼が平凡なわけがない。
人間、自分のいいところは他人の目でしか見えないんですね。

この間、FANBOXで書いたんですけど、恋愛モノに求めるものって、私はだいたい3つなんですよね。
特に、「お前絶対それ相手好きだってーーーの!!」「なんで! なんでいかないの! 今いけよ!!」ってやきもきするのを読むのが好き。
おばちゃん根性が強いともいう。
なので、初輝が「仮のパートナー期間延長して」って言った瞬間、「ちっっっがーーーーう!!!」ってなりましたね、ええ。

自分から当て馬だと言い張る相馬さん(な、名前からして「馬」が入ってんじゃねーの・・・・・・)がとてもいい人。
Dom/Subってオメガバースと違って、セックスはそこまで重要ではないのかも、と相馬さん見てたら思いました。
もちろん、最終的に行き着く先はセックスであっても、Dom/Subのプレイにセックスを最後までする、という決まりはなく、そういうのが苦手、という人もいるわけです。
相馬さんはそういうタイプのDomなので、ぜひともいいお相手に巡り会ってほしいですね。

Dom/Sub、別にDom×Subに限定する必要はないんですよねえ。
Sub×Domも面白そうじゃない?
いや、こういうイレギュラーな奴、大好物なんですよね。
でも書くのはやめとけって、投稿者の謙虚な心が言っているので、書かないぞ!(まだ)

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