「黒い羊は銀の魔導士の愛を夢見る」(魚形青)

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レビュー

今回はこちら。

「黒い羊は銀の魔導士の愛を夢見る」(魚形青)

10月のニコニコカドカワ祭りでは、3冊角川系列の文庫を買いました。
そのうちの一冊がこちら。
魚形青先生の本は、デビュー作からすべて拝読しております。

今作は転生・・・・・・というと、昨今は異世界転生を指すことが多いので、「生まれ変わり」としておきましょうか。

ファンタジーBLの好きなところは、

①媚薬が使える
②人の命が軽い

点だと、ブログなどで何度も発信をしているサイコパスなのですが、もうひとつ、

③身分差、人種差を障壁として取り上げやすい

ことが挙げられます。

黒髪・黒目で迫害されているラーシュの民である主人公が、見た目無愛想で冷たそうな魔道士に救われ、逆に彼を救う話でもあります。
この差別の描写がまた、ぐぬぬとなってしまう演出をされていて。
村にひとりでお使いに行ったときには、おつりを誤魔化されたりしたんだけど、魔道士・ウィレムと一緒に村に下りると、途端にちやほやされる。
虎の威を借るじゃないけれど、大人たちは庇護者である大魔道士のウィレムの顔色をうかがう。
子どもたちも同じようだけれど、そこはやっぱり柔軟なもので、遊んだりと仲良くなります。
(ところでそのうちのひとりがアリンに告白するわけですが、これって本当に好き? あんずもらったからじゃないの?? と疑ってしまった)

ウィレムがアリンを保護した理由には、過去に愛した人間のことが深く関わっていて、ここがとても悲劇。
自分の意志で命を閉ざしたのも悲しいけれど、操られてしまっていたウィレムかわいそうすぎる・・・・・・。

最近の転生ものだと、転生前の記憶を使って無双するぜ! パターンが多いのですが、こんなに流行する前の転生ものってこんな感じじゃなかったかなあ、と思いました。
記憶も断片的にあるものの、強い能力を引き継いでいるわけでもなく、あくまでも現世のアリンの気持ちにフォーカスされているのがよかったです。

個人的には、ガンス(ウィレムの弟子)が本当に嫌な奴すぎて、ダメでした。
嫌な奴が登場するのはいいんですが、ウィレム・アリンと一緒に住んでいるのがダメ。
距離が近すぎる。
なので、彼が最後に悲惨な状態になるのを見たときには、素直に「ざまぁ!」と思いました。

最後の方のウィレムの
「生きる=己の真の望みを求めること」
という結論は、私の胸に刻んでおきたい言葉になりました。

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