今年もあと2か月くらいですね。今月もBL小説を読んでレビューします。
「花のオメガと溺愛王子 ~いとし子と運命のつがい~」(葵居ゆゆ)
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昔からハーレクイン・ロマンスとBL小説ってどこか似たようなものを感じていましたが、オメガバースものが流行してからは、余計にそう思うようになりました。
アルファは権力者だったりみんなの人気者で、一夜を過ごしたオメガは彼の周りの人物の反対に遭って、「それもそうだ」と思い、姿を消すが、一夜の契りによってお腹には子どもが宿っていて・・・・・・
っていう。
シークレット・ベビーものっていうんですか。
オメガバースのアルファとオメガの世間的なイメージの差が上手く組み合わさって、相性がいいんだと思います。
ということで、そんなシークレット・ベビーもの。
意外と読んだことなかったなあ~。
一言で言うなら、頑なな受け。
八歳のときに自分を救ってくれた幸徳に恩返しをする。
そのためだけに生きているので、恋人をつくるなんて一度も考えたことのなかった夏芽が、天命のつがいに出会ってしまうお話です。
もうね~、辛い!
電車の中で(ブックカバーかけてこそこそ)読んでいたんですが、何度か可哀想すぎて鼻の奥に来て、本を閉じたりしました。
助けてくれた幸徳を絶対的に慕っていて、それでも出会ってしまった唯一に惹かれてしまう夏芽が、自分を抑えているのが切なくて好きです。
ハリードのことを拒む夏芽に対して、彼はどこまでも誠実で優しい。
リアルに王子様なので、二昔前のBLだったら権力に物を言わせ、自国に連れ帰っていてもおかしくない・・・・・・(たぶんみんな、心当たりがひとつやふたつくらいある)。
そんな強引な俺様攻めのアラブものも好きですが、そういう攻めには負けないくらいポンポン言い返す気の強い受けじゃないと。
夏芽も自分の決めたことは譲らない強さはありますが、自分の主人と決めた幸徳と無理矢理引き離したら、この子(という年ではないが)、死んでしまうんじゃなかろうか・・・・・・。
よかったね、夏芽。令和のBL小説のキャラで・・・・・・。
本編中で詩利に「できない約束はしない」というハリード。
ここで夏芽を口説くときの彼の言葉を思い出す私。
「向こうで一緒に」「無理なら日本に移住する」「幸徳とも同居する」
・・・・・・これらの言葉、彼は全部本気で言ってたんですね。
何よりも好きなのは、贈り物に隠されていた手紙。
直接じゃない、オンタイムに届くメッセージでもない手紙というツールが好きです。
メールや電話よりも、読んでいてぎゅっと胸に迫ってくるので。
砂漠に咲く花は、不安定な地面に深く根づき、じっと耐えている。
そんな花のような夏芽が幸せを掴んで、本当によかった。
ぜひとも詩利の下に弟や妹を産んで、幸徳さんにも家族を増やしてあげてほしいです。
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