「聖女ヴィクトリアの考察 アウレスタ神殿物語」(春間タツキ)

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レビュー

秋の読書週間。あと二冊・・・・・・!
(その後すぐにBL読書週間が来る)

「聖女ヴィクトリアの考察 アウレスタ神殿物語」

↑Amazonの電子書籍ページに飛びます。

第6回角川文庫キャラクター小説大賞・奨励賞受賞作。

先日、我らが中間淳太さん表紙の小説現代が完売したという知らせが入りました。
中間さん効果も多少あるにせよ、人気の若手作家が特殊設定ミステリについて語るという座談会も見応えがあったからだと思います。
ファンタジー世界におけるミステリというのも、特殊設定の一種だと思います。

功績がなく、前主席聖女の不正で聖女になったと決めつけられ、追放を命じられたヴィクトリア。
彼女は霊や魔力、精霊など、普通の人間には見えないものを見る目をもった、<物見の聖女>。

懲罰房に入れられたヴィクトリアの前に現れた青年騎士・アドラスは、「その目で自分が皇子でないことを証明して欲しい」と依頼、神殿からともに逃亡する。

本人が皇子じゃないって言い張るので、きっと皇子じゃない(けど、何らかの出生の秘密があって「あら大変」)オチを期待していたのですが、ああ~、そっちの方にどんでん返ししますか!

このアドラスさんの豪快エピソード、思わず「ふふっ」と笑っちゃいます。特に冒頭、魔術のかかった錠前をたたっ切るあたり、脳筋ぽくて好き。

最近になって、ブックカバー(元々はほぼ日手帳オリジナルのカバーで、andu ametというエチオピアのシープレザーを取り扱うブランドのもの)にフィルムふせんを入れて持ち歩き始めました。
気になったところや面白い部分にふせんをガンガン貼っています。

↑便利!

で、ノートにまとめるときにふせん部分を中心に読み返すのですが、この作品のふせん貼った箇所、だいたいひとつの物事に集中していたので、おそらくこれがテーマなのだろう、と。

人に見えないものを視るヴィクトリアを通じて、「真実とはいったい何なのか」ということを考えさせられます。
「真実はいつもひとつ!」なんて名探偵は言うかもしれませんが、実際は、それが正しいかどうかはわかりません。

ヴィクトリアの師であり、先代の主席聖女は<先見の聖女>として、予言をしていました。
彼女は弟子に、「善にも悪にも平等であれ」と、真実を歪めずに客観視することが大切だと教えます。
一方で、現在の主席聖女であり、ヴィクトリアのことを目の上のたんこぶ扱いするオルタナは、真実よりも目の前の秩序・安寧を重視します。

どちらの言い分もきっと正しく、そしてきっと間違ってもいるのでしょう。
師匠と違い、ヴィクトリアは今後、思い悩むことがあるかもしれません。皇子ではないという自分の希望ではなく、「真実」を明かすことを選択したアドラス。
彼の強さが、どうか迷ったとき、ヴィクトリアの一助となり、自分の道を見つけることができますように。

さて、これ絶対続刊するだろう! っていう気になる終わり方をしています。
天然聖女にアドラスが勝てる日は来るのかな・・・・・・?

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